【毎日書評】「やる気のなさ」の原因は、「やる気の出し方」を知らないだけだった!
人の行動は「環境」の影響を受ける
潜在的なやる気がどれだけ高い人であっても、「どんな環境に置かれているか」によって行動は変わってくるもの。 環境が悪いと、どれだけやる気を持っていたとしても、いつしかやる気をなくしてしまうものだということ。それほど、環境は大事なのです。 アメリカにあるヒューストン大学のウェイファ・ファンは、全米のいろいろな高校で1万4639人の生徒を対象とした調査を行いました。 その結果、学校の雰囲気がとても悪いと、具体的にいうと、「不良の生徒が授業を妨害する」「学校に不良グループがいる」「学校内でケンカがしばしば起きる」という学校では、生徒のやる気が落ちて、国語と数学の成績がとても悪くなることがわかりました。(190ページより) 本人にやる気があったとしても、雰囲気が悪いのであればどうすることもできません。会社においてもそれは同じで、新卒で入社してくる社員は誰でも夢や希望を持っているもの。 しかし、入社した時点で、多くの社員がダラダラと働いている場面や私語ばかりで仕事をしていないなどの場面に遭遇したとしたらどうなるでしょう? おそらく、その新入社員も同じようにやる気を失っていくに違いありません。 「朱に交われば赤くなる」ということわざからもわかるとおり、私たちは周囲の人に染まっていきやすいという側面を持っています。そのため、やる気のない人たちばかりに囲まれていたとしたら、「自分だけが身を粉にして働く」ということにはなりにくいわけです。 だとすれば、そうした状況を改善するためにはどうしたらいいのでしょうか? この問いに対して著者は、「自主性」を持たせるようにするべきだと答えています。仕事を任せてしまったほうが、社員はやる気を出すものだということ。 仮に「がんばれる人」が多い企業があったとしても、別にその会社は「生まれつきがんばれる能力を備えた人」だけを採用しているわけではないでしょう。従業員に自主性を持たせられるようなシステムを採用しているからこそ、各人が自主的に働けるにすぎないのです。 いいかえれば、全員が参加できるような仕組みが整っていれば、おのずとやる気も出るということ。 したがって、職場の雰囲気を変えたいのであれば、各人に自主性を持たせるべきだと著者は述べています。そうすれば、少しずつであっても雰囲気はよくなっていくだろうと。たしかにそれは、企業が目指すべき方向性だといえるかもしれません。(190ページより) 著者がいうように「やる気のなさ」の原因が「やる気の出し方を知らないこと」なのだとしたら、本書はきっと役に立つはず。すぐに実践できそうなことばかりなので、試してみる価値は大いにありそうです。 >>Kindle unlimited、2万冊以上が楽しめる読み放題を体験! 「毎日書評」をもっと読む>> 「毎日書評」をVoicyで聞く>> Source: 総合法令出版
印南敦史