「すべての道はロボットに通じる」 日電産など関連銘柄、株式市場で存在感
2017年の株式マーケットで、相場を読み解くキーワードの一つが「生産性」だ。国内大手証券でも、これに関連した銘柄の掘り起こしが年初から活発化している。 付加価値を高めるため、製造現場はもちろん、サービス分野でもたえず生産性の向上が追求されているのは周知のとおり。しかし、古くからのこうした企業行動とそれを支える製品群が、昨年末以降、「新たな支援材料」を得て再び脚光を浴びている。生産性アップを実現する製品群のなかでも、急速に存在感を増しているのがロボットだ。(解説:証券ジャーナリスト 神田治明)
2つの強力な支援材料
「新たな支援材料」とは何か――。政策面では2つ。まず、今年1月22日、米国の第45代大統領に就任したドナルド・トランプ氏の動きだ。「Make America Great Again」(再びアメリカを偉大にしよう)というスローガンを掲げているトランプ大統領は、米国経済の活性化策を推進し、10年間で2500万人の雇用創出を目指している。しかし、景気拡大と背中合わせに、昨年5月から今年1月まで9カ月連続で5%台割れの水準で推移(直近1月は4.8%)。ここからどんどん雇用を生み出せる状況にはない。企業競争力を高めるためには、現場における合理化投資の増強は欠かせない。 もう一つは、「安倍政権の働き方改革」。過労死など悲惨な状況を引き起こすことなく、快適な職場づくりを政府としてもバックアップするという動きが本格化している。昨年 12 月時点の直近データ国内の完全失業率は3.1%(季節調整値)と、低水準をキープし、完全失業者数は 79 カ月連続で減少中だ。こうした状況をにらんで、日本電産など有力企業の間から残業ゼロの方針を打ち出すところも現れている。 一方、「世界の工場」とされてきた中国の人件費がここ数年で急激に上昇。中国国内の「製造現場を中心に、自動化ニーズは年を追ってどんどん高まっている」(大手工作機械メーカー幹部)。こうした流れは、当然ながら、自動化・合理化の立役者であるロボットの引き合い活発化につながっていく。そして、2017年はその動きが加速する、というのが株式マーケットの読み。「すべての道は、ロボットに通じる」というわけだ。