識者が選ぶ24年の日本人ベストイレブン|中盤のトライアングルは守田、南野、久保。ドイツで躍動するチェイスは頼もしい存在になってきた
武藤はリーグ連覇&二冠を牽引
ボランチは守田英正(スポルティング)、攻撃的なMFに南野拓実(モナコ)と久保建英(レアル・ソシエダ)を選び、トライアングルを形成した。 守田はポルトガルの名門スポルティングで中盤の主軸を張り、2023−24シーズンは圧倒的な強さで、3シーズンぶりのリーグ優勝を支えた。日本代表ではアジアカップでの苦言が注目されたが、そこから森保ジャパンでさらに存在感を高めて、キャプテンの遠藤航(リバプール)とともに、アジア最終予選での躍進に攻守両面で貢献した。 南野もモナコ復活の立役者として注目を集めると、日本代表でも最終予選の全ての試合に2シャドーの一角としてスタメン出場するなど、不本意な結果に終わってしまったカタールW杯のリベンジに向けて、着実に前進している。久保は選手として充実の一途にあり、チームの不沈も糧としながら、さらなるステップアップに待ったなしの状況にある。 左右のウイングバックは中村敬斗と伊東純也(ともにスタッド・ドゥ・ランス)の2人に。中村はオーストリアから5大リーグのフランス1部で初挑戦だった2023−24シーズンで徐々にパフォーマンスを上げて、今シーズンは新監督の信頼を勝ち取りながら、左サイドの主力としてゴール数も伸ばしている。 中村の同僚でもある伊東は不慮の事態でアジアカップ途中離脱となったが、折れることなくクラブで安定したパフォーマンスを続けて、代表復帰後は最終予選で1得点・6アシストという数字を残している。31歳という年齢ながら、爆発的なスピードを維持しており、日本代表では攻撃的ウイングバックとしての新境地を開拓中だ。 FWは多くのタレントがいるなかで、武藤嘉紀(神戸)と小川航基(NEC)の2人を選ばせてもらった。武藤は13得点・7アシストという結果もさることながら、献身的な守備や幅広いチャンスメイクで神戸のリーグ連覇、天皇杯との二冠を牽引した。今回の選出はJリーグ代表としての意味合いもある。 小川は横浜FCから持ち前の強いパーソナリティを発揮して、欧州初挑戦となったオランダでシーズン11得点。2019年のE-1選手権以来4年ぶり、フルメンバーのA代表では初招集から着実に結果を積み上げて、森保一監督の評価を高めた。上田綺世を欠いた11月シリーズではスタメン起用に応えて、厳しいアウェーでの連勝を牽引した。今シーズンのオランダでも6得点をマークしており、真の代表エースを目ざす来年になりそうだ。 2024年の日本人MVPはそれぞれの活躍に価値があり、非常に悩ましいところだが、セリエAでの奮闘、22歳の若さで日本代表の守護神としての地位を固めた鈴木に与えたい。 取材・文●河治良幸