日ハムの“二刀流”大谷、打撃ブレイクのなぜ?
勝ち星に恵まれない大谷翔平(22)が鬱憤を晴らすかのように打者としてブレイクしている。11日に東京ドームで行われたオリックス戦でも、3回無死一塁の場面で逆方向のレフトへ7号2ラン。東明の真ん中に入ってきた初球のストレートを捉えた打球は、ポーンと打ち上げたかのように見えたが、打球はぐいぐい伸びてレフトスタンドの下段に飛び込んだ。5月4日のソフトバンク戦から打者として出場した試合で、4試合連続のアーチ。現在、チームの4番、中田翔の5号さえを上回って、日本人野手では最多だ。打率の方も.322で15打点、11得点。昨年の打者としての成績は、打率.202.5本塁打、17打点だった。 今季の覚醒の理由は、何なのか。 「(4打席連続本塁打は)たまたまですが、打撃は、まずまずいい状態、いい打席が続いてます。無駄な球に手を出さず、無駄な打席が少ないです」 大谷自身は、“無駄がない”を強調する。つまりボール球に手を出さず、打ち損じが減っているのだ。 なぜ、打ち損じが減っているのかを追求すると、ミートポイントの一定が見えてくる。 元千葉ロッテの里崎智也氏の分析はシンプルだ。 「パワーでしょう。オフから体重を増やして、トレーニングで筋量を増やし見るからにたくましくなっていますよね。鍛えた成果が、飛距離を伸ばしました。パワーアップしたことでバットスイングも速くなっています。となると、当然、昨年までに比べてミートポイントも手前になり、ボールを引き付けて打てることになります。打ち損じが減り、イコール、打率もアップしますよね。 私も現役時代に、秋季キャンプで、個別の技術練習の時間を思い切って削ってウエイトトレーニングの時間に置き換えたことがあります。頭の中で、理論がわかってイメージができても、その通りに体が動かないことが多々あります。僕の場合は筋力がないため、無駄な反動をつけなければイメージ通りにバットを振れないなどの問題を抱えていましたが、筋力が伴ってくると大きい動きをしなくてともイメージの動きができるようになってきたんです。神経経路がスムーズならば、フィジカルトレーニングを積むだけでできるようになることがあります。筋力のつけ方を間違うと、野球の技術につながらないことはありますが、無駄になることはないでしょう」 大谷は、ダルビッシュ有を参考に、オフの間にまずは、100キロに体重を増やし、そこから絞り込む作業を行いながら、「ポテンシャルの幅を大きくしたい」と、筋肉増量作戦に取り組んだ。その成果が、ピッチングよりも、先にバッティングに顕著に出たというわけか。 実際、4連続本塁打を振り返っても、5月4日はソフトバンクの和田の142キロのストレートを右中間。5日は東浜のカーブを救って左中間。9日はディクソンの134キロの変化球をバックスクリーンの右へぶちこむなど、綺麗に広角に打ち分けるほどのパワーがつき、しかもミートポイントが手元にあるので、変化球にもしっかりと対応できている。