充電なしで長期走行可能な世界初のソーラーカー、北アフリカで1000kmを完走
充電なしでオフロードの長期走行が可能な世界発のソーラーカー、「ステラ・テラ」が、モロッコとサハラ砂漠を横断する1000kmのテスト走行を完了した。このプロジェクトを実現させたのは、なんと全員20代の大学生チーム。車の設計もほぼすべて自分たちで行っており、持続可能なモビリティの可能性を示した。 【写真・動画】長期走行可能な世界初のソーラーカーが走る様子
効率的で軽量! 過酷な環境に対応
ステラ・テラは、オランダのアイントホーフェン工科大学(TU/e)のソーラー・チーム・アイントホーフェンに所属する学生たちが設計した、2人乗りのソーラーカーだ。メンバーは21~25歳の22人。オフロードの過酷な条件に耐えられる、太陽光で動く効率的で軽量な車作りに取り組んだ。 TU/eのホームページによれば、屋根に設置された複数のソーラーパネルから供給されるエネルギーで走行するこの車に、充電ステーションや燃料は不要だ。公道走行が可能で、最高速度は時速145km。悪路や荒れた地形用に設計されており、晴天なら1日で710km、オフロードでは路面の状態にもよるが、平均約550kmの走行が可能だという。 重量は1.2トンと軽量。日照時間が短い地域でも走れるよう、充電可能なリチウムイオンバッテリーも搭載しているが、あくまでも補助的な利用を想定している。
太陽光だけで完走!エネルギー消費量も予想以下
学生たちは最終テストの一環として、モロッコ北部からサハラ砂漠までの1000kmのテスト走行を実施。乾燥した河川敷、森林地帯、険しい山道、砂漠を、ステラ・テラは無事駆け抜けた。 チームマネージャーのウィッセ・ボスは、ステラ・テラの効率を予測するのは難しく、果たしてソーラー発電だけで走れるかどうか確信がもてなかったと話す。しかし、実際には走行中のエネルギー消費量は予想より30%少なく、全行程を太陽光エネルギーで完走し、充電ステーションに頼ることはなかった。結果として、素晴らしい旅になったと述べている。 ガーディアン紙によれば、実は学生たちはこのプロジェクト実施のため1年間休学していた。設計のほとんどを自分たちで行ってきたということで、喜びもひとしおだったに違いない。