事業拡大へ人材確保を 西日本エンジニアリング<クロスE上場 人と技術㊥>
CrossEホールディングス(クロスE、長崎県佐世保市)の環境関連プラントの各種工事、メンテナンス業を担う西日本エンジニアリング。小川幸男社長(70)は「住民の日常生活を守る必要なインフラを整備。将来的にも需要があり、社会貢献の一役を担う」と思いを語る。 1985年、同市で創立。2017年に事業承継でハウステンボス・技術センターのグループに入った。「人と自然に優しい環境作り」を理念に自治体関連のごみ処理をはじめ、排ガス、下水、汚泥処理施設の設備などを手がける。事業を拡大し、エリアは九州、関東以西に及ぶ。 大手と競合しながら事業を展開。取引先との“信頼”を大切に、顧客に寄り添う社風を育ててきた。小川社長は「機械が相手。人間と一緒で機械が止まるなど、急病人が出ることがある。そんな緊急時に素早く対応し、主治医となる企業になりたい。同じものは二つとない。ロボットではできない仕事」と説明する。 10年前、約4億8千万円だった売上高は、今年は4倍ほどになる見通し。一昨年と比較しても約2倍。技術者の育成に加え、管理部門を強化したことが成長の要因という。社員数は現在は31人で、10年前に比べ13人増えた。ただ、業績が伸びる一方、人材不足が課題となっている。 こうした状況を踏まえ、一昨年から定年を65歳までに引き上げた。雇用確保に加え、技術の継承にも力を入れていく。「賃金は県内の企業でもトップ水準」などと処遇を強調。今年は工業系に限定せず、県内各校に幅広く求人を出した。「技術力も持った人材を育てたい。安全面、各種ノウハウが分かり、図面も読める現場の責任者にしたい。まずはやる気を持った人に入社してもらう必要がある」と話す。 事業エリアの拡大に伴い20年に関西営業所、翌年には関東営業所を開設した。この拠点を充実させ、各地の需要を取り込むことが、今後の事業展開のキーワードとなる。クロスEの上場による知名度向上で、さらなる事業拡大を目指す。