日本で定額制音楽配信サービスは定着する?
人々が音楽を聴く手段としてこれから主流になるといわれているのが、定額制音楽配信サービスだ。ユーザーは毎月決められた額の料金を払えば、サービサーが提供する楽曲をストリーミング再生で好きなだけ楽しめる。広告付きの無料プランで利用できるサービスも多い。 代表的な音楽ストリーミングサービス「Spotify」は、世界55カ国で2400万人のアクティブユーザーと、600万人の有料会員を抱えている。広告なしで利用できる有料プランは月額4.99ドルから用意。大手レコードレーベルと契約を結び、2,000万曲以上を提供している。 日本の音楽配信サービスはどうなのか? いくつか代表的なサービスは展開されているものの、定着しているとは言いがたい。 たとえば、ソニー・エンターテイメント・ネットワークが運営する「Music Unlimited」は、海外ではすでに100万人以上の会員数を獲得。月額980円で2000万曲が聴き放題になる。PC・スマートフォンのほか、PS4にも対応。音楽を聴きながらゲームを楽しめる。しかし、邦楽のラインアップが十分ではないと指摘されるなど国内普及に向けた課題は残る。 KDDIの「KKBOX」は、台湾・香港・シンガポール・マレーシアなどを中心に1000万人の会員数を誇るアジア最大の定額制音楽配信サービス。月額980円から利用でき、チャット機能なども搭載されている。2月11日には台湾で「第9回 KKBOX MUISIC AWARDS」も開催した。しかし、海外ほどに知名度が高いとは言えない。 日本にはこのほかにも、主要レコード会社が出資するレコチョクの「レコチョク Best」や、ドコモ「dヒッツ」など、スマートフォン向けに特化したサービスもある。しかし、提供している楽曲数は100万曲程度と、先行サービスに大きく水をあけられている。 また、先月24日にはDeNAの「Groovy」が開始からわずか一年でのサービス終了を発表するなど、日本の定額制音楽配信サービスを取り巻く環境は依然として厳しい。 Spotify日本法人代表のハネス・グレー氏は2月17日の講演のなかで、日本でのサービス開始に積極的な姿勢を見せた。これまでたびたび噂されてきた「Spotify」の日本参入がいよいよ現実味を帯びている。 「Spotify」と既存のサービスの最も異なる点は、広告付き無料プランの有無だ。2000万曲以上を無料で提供する「Spotify」が上陸した場合、多くのユーザーはそちらに流れる可能性は十分にある。 しかし、既存サービスもただ黙っているわけではない。「KKBOX」はすでにアーティストとのタイアップ企画を実施。2月におこなわれたMISIAのライブでは400万曲が無料で聴ける会場限定のパスコードを配布した。 日本の定額制音楽配信サービスはSpotifyに対抗できるのか? Spotifyを含むいずれのサービスも、日本において徹底したローカライズがどこまでできるのかが大きなポイントになるだろう。