絶望しかない…バブル期に買ったハワイの別荘、その後円安で売却したら→米国連邦所得税&ハワイ州税、まさかの「ダブル課税」に撃沈
ハワイ州税の課税
上記の連邦税におけるFIRPTAと同様に、非居住者が米国不動産を譲渡して、いわゆる「売り逃げ」を防止する観点から、ハワイ非居住者が不動産を譲渡するとき、ハワイ州不動産税法(Hawaii Real Property Tax Act:略称HARPTA[ハプタ])が売買金額の7.25%の税率で課されます。要するに、HARPTAはハワイ州の物件を売却する時点でハワイ州内に居住していない場合に適用されます。なお、この税額は確定申告(翌年の4月20日が納期限)で還付が可能です。 このほかに、ハワイ州の税法では不動産を売却にて所有権移転された場合には売買代金に対して不動産譲渡税 (Conveyance Tax) が課されますが、この税は所得に課される税ではなく、性質としては不動産取引に係る間接税です。
日本の所得税の課税
日本居住者Aさんのケースではドル建ての譲渡損益は損失ですが、円建てで計算すると円安の影響で譲渡益が生じるという内容です。 この場合、当該資産の取得価額と譲渡価額は円で表示されることから、円建ての利益を譲渡益とするのが妥当です。 問題は、米国連邦所得税とハワイ州税により源泉徴収が行われることです。また日本の所得税の確定申告の期限が3月15日であるのに対して、米国連邦所得税およびハワイ州所得税の申告期限はいずれも4月です。 たとえば、令和元年に譲渡が行われ、連邦および州の双方で源泉徴収された場合、令和元年の日本の確定申告において外国税額控除の請求をすることになります。そして、令和元年の4月の米国連邦およびハワイ州税の還付申告により税の還付があった場合、日本において令和2年の確定申告において修正申告が行われ、外国税額控除対象額から控除されることになるので注意が必要です。 矢内一好 国際課税研究所首席研究員
矢内 一好