東日本大震災から13年 廃炉の課題は…原発内部を取材【WBS】
甚大な被害を及ぼした東日本大震災の発生から13年となります。世界最悪レベルの事故を起こした、東京電力福島第一原子力発電所の廃炉の道筋は、いまだ見通せないのが現状です。課題は何なのか、テレビ東京のカメラが第一原発の格納容器の内部に入りました。 【動画】いまも避難者2万9,000人 震災13年 被災地で祈り 2万2000人以上が犠牲となった東日本大震災発生から13年を迎えた11日、各地で追悼の祈りが捧げられました。 「娘は26歳で孫は6カ月。一番幸せなときに津波に遭ってしまった」(娘と孫を亡くした男性) 「息子がこの辺にいるんじゃないかと思い、石巻を離れられないでいる」(息子が行方不明の女性) 福島第一原発の事故などの影響で、今も避難生活を送っている人はおよそ2万9000人。復興に向けては、原発の廃炉作業を完了させることが不可欠です。 廃炉の鍵を握るのが原子炉内で溶け出した大量の核燃料“デブリ”の除去。デブリは1号機から3号機内でおよそ880トンあるとされ、雨水や地下水と混じり「汚染水」として今も増え続けています。その汚染水を浄化した処理水などを貯めるタンクは既に1000基を超え、廃炉作業の妨げとなっています。 デブリの除去なくして廃炉なし。今年1月、ようやくデブリ除去に動き始めた福島第1原発の現場にテレビ東京のカメラが入りました。
「これから入ってもらうのが格納容器の入り口」(「東京電力」廃炉コミュニケーションセンターの木元崇宏副所長) 東京電力は、汚染の激しい2号機からデブリの試験的な除去を行う予定です。遠隔ロボットでハッチを開け、ロボットアームなどを投入して、中のデブリを取り出すとしています。 「ここからイエローゾーンになる」(木元副所長) 私たちが入ったのは5号機の原子炉建屋。2号機とほぼ同じ形状であるため、東電がデブリの除去に向けた検討を行っている場所です。 暗く様々な機器がひしめき合う建屋内。人が一人通るので精いっぱいの通路が複雑に入り組ん でいます。 原子炉の出力を調整する場所では「長くいると下の線量が高いので、滞在が短くなる」(木元副所長)。 5号機は事故当時から運転を停止していますが、取材中、放射線量の上昇を警告するアラームが何度も鳴りました。 そして原子炉の真下にあたる部分。 「2号機の場合は堆積物がこのあたりまで広がっている。トングでつまめることはわかっている。一部の堆積物は取ることができると思う」(木元副所長) デブリの総量がおよそ880トンある一方で、ロボットアームで取り出せるのは、1回の作業で耳かき1杯程度。廃炉が完了する時期は2041~51年としていますが、果てしない時間と作業が待っています。 東京電力HD福島第一廃炉推進カンパニーの髙橋邦明氏は11日の会見で「デブリの取り出しの時期は10月を目指している。長期にわたる廃炉作業の中の重要な一つの工程」と話しています。 ※ワールドビジネスサテライト