認知症専門医 一人暮らしなのに卵のパックが3つ…必要と思うものはたくさん、頼まれたものは忘れる。家族に気づいてほしい<認知症グレーゾーンのサイン>とは
厚生労働省が公開している「あたまとからだを元気にする MCIハンドブック」によると、MCIといわれる認知症になる前の段階であれば、対策を行うことで健常な状態に戻る可能性があるそうです。認知症専門医の朝田隆先生は、このMCIについて「正常な脳と認知症の間に位置する、いうなれば“認知症グレーゾーン”」の状態だと言います。朝田先生によると、「いったん気づいたのにまた同じものを買ってきてしまうのが認知症グレーゾーンの特徴」だそうで――。 認知症専門医がいつまでも若々しい脳を保つ方法を紹介!『認知症グレーゾーンからUターンした人がやっていること』 * * * * * * * ◆「同じものを買ってしまう」のもたまになら単なる老化の範囲内 「昨日、マヨネーズを買ってきて冷蔵庫を開けたら、未開封のマヨネーズがすでにあってびっくり。私ったらうっかり忘れて、もう本当にボケてるわ」 そんなサザエさんのような失敗談は、年齢とともに増えていきます。けれども、Iさん(62歳・女性)の場合は、ちょっと違っていました。 一人暮らしのIさんは、仕事帰りに買い物をして帰宅し、冷蔵庫を開けたところ、卵の10個入りパックが3つも入っていたのです。 「なんでこんなに……」と絶句したものの、「まあ、必要なものだからいいか」と思い直したIさんでしたが、なんとその翌日に、またもや卵の10個入りパックを買ってきてしまったのでした。 このように、同じものを買うことが「たまにある」のは老化現象ですが、いったん気づいたのにまた同じものを買ってきてしまうのが認知症グレーゾーンの特徴です。 記憶をつかさどる海馬の働きが弱くなった結果、つい最近の出来事を覚えておくのが苦手になってしまうのです。
◆家族の気づきポイント 本人にとって「これがないと困る」と思っているものは何度も買ってくるのに対し、人から頼まれたものは買い忘れが目立つようになります。 たとえば、家族に「ビールを買ってきて」と言われても、自分の気になっている買い物で頭がいっぱいなので、人からの頼まれ事は記憶に残りません。 すでにたくさん買い置きしているゴミ袋は購入しても、直前に頼まれたビールは忘れてしまいます。 「あれ? 私が頼んだビールは?」という違和感こそ、家族にとって気づきのポイントとなります。
【関連記事】
- 認知症専門医 認知機能のセルフチェックには「開眼片足立ち」「時計の絵を描く」…3つ以上当てはまれば<認知症グレーゾーン>なのかも
- 「めんどうくさい」が口をつくようになったら要注意。20年も前から脳の病的変化が始まると言われる認知症…その「分かれ道」はいったいどこに?
- 「朝刊が届かず玄関にへたりこむ」「最新のポットを使いこなせず脱水症状になる」認知症の人。《いつもと違う》ことが彼らから失わせるものとは
- 和田秀樹「つまらないバラエティ番組」をダラダラ観るのは<脳>に悪影響!? 脳を活性化させるのに良い番組とは?
- 認知症サポート医 認知症予防につながる<寝る前のちょっとした習慣>とは?「入浴」と「寝具選び」で睡眠の質を上げよう