ダイハツ、牛糞由来のバイオガス生成実証プラントを本格稼働 町内で「耕・畜・工」の循環ビジネス
ダイハツ工業は9日、滋賀(竜王)第一工場(滋賀県竜王町)に新設したバイオガスの実証プラントが稼働したと発表した。同工場に隣接する畜産農家の協力を得て、牛糞由来のバイオガスを生成し、工場のエネルギーとして活用する。将来的には1日当たり約20㌧の牛糞からバイオガスを生成し、鋳造工場でのアルミ溶解工程に必要な燃料ガスの約10%をまかなうことも想定する。バイオガス生成時に発生した残さは地元農家に肥料として提供することで、町内での「耕・畜・工」での循環ビジネスの確立を目指す。 同工場の一角に新設した実証プラントが先月稼働した。現在は、1日当たり2㌧の牛糞を処理してバイオガスを生成。バイオガスはアルミ溶解工程などカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)化が難しい都市ガスを使用する工程などで活用する。 同プラントは、乳牛に比べ糞の水分が少ない肉牛の近江牛の特徴に合わせて独自開発した。休止設備の活用など既製品の改造などで「技術を手の内化」(担当者)した。生成したバイオガスを工場の電力として活用する発電機は、小型SUV「ロッキー」のエンジンとハイブリッドシステムをベースに新規開発した。 バイオガス発酵過程で発生した残さは、液肥や堆肥として地元の農家に活用してもらう。 数年以内に規模を拡大し、1日当たり20㌧の牛糞でのバイオガス生成を目指す。併せて、畜産農家・工業・耕種農家で循環型ビジネスの確立も実現したい考えだ。 ダイハツ工業の井上雅宏社長は、「(牛糞由来のバイオガス生成は)現実的なカーボンニュートラルの取り組みだ。竜王町の皆さんとともに、環境にも人にもやさしい地域社会づくりを進めたい」と語った。