【MLB】イケメン、知的、好奇心旺盛 人間としても魅力的なグラスノー
【MLB最新事情】 タイラー・グラスノーはドジャースのエースとして素晴らしいピッチングを続けている。5月4日のブレーブス戦は7回2失点10奪三振で勝ち投手に、10日のパドレス戦は7回1安打1失点10奪三振だった。 強豪相手にデーブ・ロバーツ監督が「ポストシーズンのような雰囲気だった」という試合で、打者を圧倒した。この時点で過去4試合の成績は防御率1.28、28イニングで39奪三振。「ここ数試合とても安定している。調子が良いときは前の試合の感覚を思い出し、また良いピッチングができる」とグラスノー。 203cmの長身で98マイルの剛速球を投げ下ろし、キレ味鋭い変化球と併用。スライダーが38.3%、カーブが47.6%の空振り率だ。とはいえ弱点がないわけではない。16日のレッズ戦、大谷翔平のボブルヘッドの日。ドジャー・スタジアムは5万3000人の大観衆で膨れ上がったが、グラスノーはレッズの若き怪物エリー・デラクルーズにかき回され5回6安打4失点で負け投手になった。 対デラクルーズは第1打席中前打のあと二盗、第2打席レフトへの二塁打のあと三盗、第3打席は四球のあと、二盗、三盗。すべて得点につながった。「デラクルーズに投げた球はすべて良くなかった。塁に出てからは見てのとおりで、彼をホールドするクイックネスが足りなかった。彼は本当に速いね」と完敗を認めている。 それでもここまで10試合に先発、6勝2敗、防御率2.90、三振がリーグ最多の81個。世界一を目指すチームのけん引車の一人だ。グラスノーは11年のドラフトでパイレーツ入団、18年にレイズに移籍したが、出身はカリフォルニア州のサンタクラリタ。ロサンゼルスのダウンタウンから約30マイル、マジックマウンテン(遊園地)がある郊外の美しい街だ。 オフにレイズからのトレードが決まったが、「子どものころからあこがれた夢のチーム。自分を高く買ってくれた球団の人たちにとても感謝している。トレードを受け入れるかどうかは、考えるまでもないことだった」と里帰りを喜んでいる。 見てのとおり、長身、長髪でかなりのイケメンだが、人柄も興味深い。好奇心旺盛で冒険心に富み、スケートボード、スノーボード、クリフダイビング、バンジージャンプ、スカイダイビングとなんでもござれだ。旅行が大好きで、オフになると必ず大きな旅行を1回か2回して欧州や東南アジアなどに出かける。 タイのフィーピーフィー島に出かけたときは、ビーチにいた野生の猿に誤って餌を与えてしまい、約10匹に襲われた。「駆けて来て、飛び跳ねて、つかまれてしまった。危なかったね」。おしゃべりが好きで、どんな話題でも率直に意見を言うから、人気スポーツアナウンサーのクリス・ローズのポッドキャストにレギュラー出演している。 難しい話題にも興味があり、社会心理学者のマルコム・グラッドウェルや起業家のティム・フェリスのポッドキャストを好んで見る。古代ギリシャ宗教とキリスト教の歴史的な関連性に焦点を当てた難しい書籍をオーディオブックで聴いたりもする。5年契約、大谷翔平や山本由伸とともに黄金時代を築いていく。 文=奥田秀樹 写真=Getty Images
週刊ベースボール