教員の長時間労働 授業や部活動、事務見直し 福島県教委、全公立校で着手 5年かけ改善へ
教員の長時間労働の解消に向け、福島県教委は全ての公立学校で授業や部活動、事務全般の見直しに着手した。学校ごとにばらつきがある週当たりの授業時数の統一は小中学校だけでなく高校も含めて取り組み、担任の分担制なども重点的に進めて勤務時間の短縮と平準化を目指す。テストの採点などのデジタル化も推進する。児童・生徒と関わる時間を増やして教育の質を高め、教員のなり手確保につなげる。20日の6月定例県議会代表質問で、県民連合の荒秀一議員(相馬市・相馬郡新地町)の質問に大沼博文教育長が答えた。 教員の長時間労働改善に向けた県教委の主な取り組みは【下記】の通り。授業時数の見直しは文部科学省が公立小中学校で進めるよう求めているが、県教委は進学校も含めた高校での取り組みも必要と判断し、全ての校種で進める。地域や学校の事情で国が定める標準時間数を超えたり教員1人が受け持つ授業時間が過大になったりする事例があることから学校ごとの授業の時間数を確認し、適正な時間にする。学力向上に影響しないよう、学びの質の向上策も合わせて模索する。
複数担任制やチーム担任制などの導入を検討し、特定の教員への負担の集中を回避する。部活動は設置数を見直し、練習時間や休養日の適正化を徹底する。 ITはテストの採点など教員の負担が大きい分野で活用する。人工知能(AI)による「採点システム」を7月1日から県立中・高に導入する。正誤のチェックや得点の自動計算、問題ごとの正答率の算出などが容易になる。高校入試での使用も視野に入れている。文科省が提唱するスクールサポートスタッフの配置は、全ての公立学校での実現を目指す。電話対応など事務作業を支援する。 指針となる「教職員働き方改革アクションプラン」に基づき、今年度から5年かけて改善する。(1)仕事と私生活を両立する教員の割合80%以上(2)授業準備や自己研さんの時間を確保できている教員の割合80%以上(3)教員の時間外勤務を月45時間以内、年360時間以内(4)予測できない業務の増加があっても時間外勤務が月80時間を超える教職員ゼロ―の4項目の達成を目標にする。