静岡の商業施設「ミソラタウン掛川」、耐震性に重大問題で1棟閉鎖…再建に少なくとも2年
静岡県掛川市高御所の大型商業施設「ミソラタウン掛川」について、開発会社「フジ都市開発」(静岡市)は7日、設計・施工の欠陥で1棟の耐震性に重大な問題が見つかったため、閉鎖すると発表した。スーパーやドラッグストアなど3店が休業・閉店した。建物の一部が最大14センチ沈み込んだという。建て替えて営業再開するには少なくとも2年はかかる見込み。
同施設は大型駐車場とA~Dの4棟の建物で構成され、昨年5月にオープンした。総事業費は約30億円。A棟(鉄骨2階)には、スーパーの遠鉄ストア、ドラッグストアのマツモトキヨシ、生活雑貨店の無印良品が入っていたが、遠鉄ストアとマツキヨは休業、無印良品は閉店したという。
設計・施工は大和ハウス工業(大阪市)が担当した。今年5月にA棟の搬入路外構で沈み込みが見つかったため、遠鉄ストアが調査を依頼。施工段階で基礎杭(くい)72本のうち、少なくとも5本が岩盤の固い支持層に2~8メートル届いていないことが判明したという。
「震度5程度の地震でも何が起こるか分からない」などと説明を受けたため、11月に入り、関係各社がA棟の閉鎖を決めたという。
B~D棟は今後も通常通り営業される。記者会見でフジ都市開発の御室慎二郎・不動産事業課長は損害賠償請求も視野に、「債務不履行で大和ハウスとは今後、金銭的な話になる」と指摘。遠鉄ストアの宮田洋社長は「生鮮食品もあるので莫大(ばくだい)な損失となる。損害賠償額は現在算定中」と語った。
御室課長は当該の1棟を取り壊して建て直す意向を示し、「大和ハウス側からは最短で2年はかかるとの試算が出された」と語った。
大和ハウス工業・東京広報グループの担当者は読売新聞の取材に、「基礎杭がなぜ支持層に届かなかったのか現在、原因を調査中」としている。
この日、施設には休業を知らせる案内文が貼り出された。買い物に訪れた近くの主婦(29)は「家庭用品がそろう商業施設ができたと喜んでいたのに……」と肩を落としていた。