東山動植物園に天然記念物ツシマヤマネコの新獣舎が登場/愛知
日本でも最大級の規模を誇る、名古屋市の東山動植物園。“人と自然をつなぐ懸け橋へ”を目標に、再生プランが進行している同園では新施設のオープンが続き、2013年に登場したアジアゾウの新施設“ゾージアム”が人気を集めている。そんな東山動植物園に、4月26日(土)ツシマヤマネコの新獣舎がオープンする。
■天然記念物ツシマヤマネコ ツシマヤマネコは長崎県の対馬にだけ生息する日本の固有種で、1971年には国の天然記念物に指定されている。というのも、生息環境の悪化や交通事故によって生息数が減少、2014年の調査では100頭程度しか確認されていないためだ。「動物園での飼育も、当園をはじめ、福岡市動植物園、よこはま動物園ズーラシアなど全国で9つの動物園のみで、28頭ほどです」と語るのは、東山動植物園で飼育第一係長を務める茶谷公一さん。 ツシマヤマネコを保護するため、対馬では安全な生息地を作る取り組みが行われるとともに、全国の動物園では飼育下繁殖と研究が進められている。これは環境省と公益社団法人日本動物園水族館協会(以下、日動水)が協力して行っているもので、東山動植物園に新獣舎が設けられたのも「いつでも繁殖に取り組める環境を整えておくためです」(茶谷さん)。 ■飼育下繁殖を視野に入れた新獣舎 獣舎の造りは環境省の基準に従って作られており、繁殖に影響を与えないため、繁殖用のエリアは人目に触れないよう非公開。公開用の施設でも、対馬の自然の環境をできるだけ再現するよう工夫されている。「大半を森の中で暮らし、餌の捕獲のため農地や水辺へ出てくる生態に合わせて、“農地がある人里”“森の入り口”“森の中”といった3つの部屋を用意しました。一般のイエネコとは異なり水浴びを好む習性に合わせてプールを設けたり、木登りができるよう大きな模造の木も配しています」と、以前に比べぐっと快適になったように見える獣舎について、茶谷さんが説明してくれた。 ツシマヤマネコは体長約49~58cm、体重約3~4kgとイエネコとほぼ同程度の大きさ。太くて長い尾と額の縦縞模様、耳の後ろの白い模様が特徴だ。東山動植物園で飼育されている個体は、ひなた(13歳メス)。夜行性のため、日中は少し高い場所で眠ったり、木の上でひなたぼっこしたりしていることも多いという。