「親に捨てられた少女!?」迎えに来るのを待つという残酷な現実!ホームレスたちは記憶喪失の少女を守って…?【著者に聞く】
街中で暮らすホームレスたち。その中に幼い少女が1人混じっていた。吾子(わこ)という少女は、はぐれた母親が迎えに来るのを待っているというが、彼女は「記憶喪失病」という謎の症状を抱えていて…?病を抱えきれず親に捨てられた少女の生きざまを描く、ようら(@nw5dB8UL5z61936)さんの創作漫画「旅立ちのアムネジアガール」を紹介するとともに、制作の経緯を聞く。 【漫画】本編を読む ■「親が迎えに来るのを待っている」と言う少女。実は…? 主人公うないが旅をする「暗匣(あんばこ)シリーズ」。うないのキャラクター設定については、「名前・生い立ち・年齢・性別・そもそも人間なのかということも含めてすべて不明―という『謎』を頭から全身に被ったようなキャラにしました。他人の真実は晒すのに、本人は謎だらけ…というのがおもしろいかと思って、正体のわからない存在にしています」と、ようらさん。 今回は、河川敷で暮らすホームレスのなかにいる、幼い一人の少女・吾子のお話。ゴミの中から食べられそうなものを探していると、うないと出会う。吾子は突然、記憶を失くす「記憶喪失病」という謎の症状を抱えていた。「いつなるか、いつ戻るかわからない」が一時的なもので、半日で戻ることもあれば2~3日かかることもあるという。そんな少女を放っておけず、ホームレスのおじさんたちが守っていた。 「親が迎えに来るのを待っている」と言う吾子。しかし、捜索願が出ていて警察に捜索されると、ホームレスのおじさんたちはかなりの面倒事に巻き込まれる。うないが「住所も電話番号もあなたは覚えているのでは?その時は自分で帰るんですか?」と、吾子に問いかけると、突然うないのカメラが吾子を映し出した。真実を映すという、そこに映ったものは? 本作の着想について聞くと、「この話はこの形になるまで長かったのできちんと覚えていないのですが、幼い女の子がゴミ箱の中で膝を抱えている映像が頭にフワッと浮かんで、『なんて酷い絵面なんだ』とゾッとした記憶があります。このシーンが描きたくて、それに合わせて話の構成を進めていったところがあります」と、当時を振り返る。 構成するうえでこだわったところは、「女の子の境遇がかなり悲惨なので、暗くなりすぎないよう、でも子どもでも容赦ない描写を心掛けました。あと女の子が涙を流すところまでは、細かい心情はなるべく言葉(セリフ)にしないようにしていました。明るく振る舞っていたけれど、あの瞬間、ずっと溜め込んでいた辛さや寂しさや絶望感が爆発して、すべてが涙として吹き出してくる、そんな印象的なシーンにしたくて」とのこと。 ようらさんが描く物語は小説のような物語がある。制作するうえでこだわっているところは「時代背景や出てくる小物などは、結構調べてから描くようにしています。こんな所にそんな時間かける必要ないだろ、ってところでも『この時代にそんなのない』って言われるのが怖くて、ある程度確証が得られるまでは進められないんです。まぁ、作中に年代は書いてないんですけども…」と話してくれた。 今回から登場する吾子という新しいキャラクターは、今後のシリーズにも出てくる。「とにかく逞しい子です。うないが感情の起伏がないので、対照的に言葉や表情が豊かなキャラクターにしました。設定的にトラブルメーカーになる面もあるので、物語の幅を広げていってくれる存在になると思います」と教えてくれた。 取材協力:ようら(@nw5dB8UL5z61936)