「放水したら爆発」中国・天津大爆発、日本の消防は大丈夫?
消防法では、1.火災発生の危険性が大きい、2.火災発生の場合拡大危険性が大きい、3.火災の際消火が困難である、といった物質を「危険物」として指定し、これらの貯蔵、取り扱い及び運搬に規制をかけている。身近なものでは、ガソリン・灯油などがこれに当たる。「危険物」を扱うためには、「危険物取扱者」の資格を持った人が自ら行うか、「危険物取扱者」が立ち会わなくてはならない。 水をかけてはいけない「危険物」を取り扱う施設で火災があった場合、日本の消防隊員は「乾燥した砂や、粉末の消火剤を用いて鎮火する」(同担当者)という。同担当者は「中国でも法規制はあると思うが、きちんと運用されていなかったのかもしれない。日本ではきちんと運用されている限り、同様の事故は起こらない」と説明する。
無許可施設で火災が起きた場合は?
これら日本の危険物の取り扱い制度は、適切に許可を得ていることが前提になっている。では、無許可で危険物を取り扱っていた施設で火災が起きたらどうなるのだろうか。昨年5月、東京都町田市の金属加工工場で火災が起き、一人が死亡した。工場では、許可を得ずに大量のマグネシウムを扱っていた。マグネシウムは水による消火が出来ない物質のため、鎮火に約38時間かかったという。 事故後の産経新聞の報道によると、東京消防庁の消防隊は「工場内にマグネシウムなどの危険物があるとの認識がなく、工場前で炎上中の車両に放水したため爆発的に燃え広がった」という。 町田の事故を受けて、総務省消防庁は各都道府県の担当者に向けて、「マグネシウム等の水による消火が適さない物質を取り扱う事業所に係る防火対策の徹底について」という通知を発し、出火防止対策と、出火の際は放水による消火ではなく、乾燥砂、消火剤を使うよう再度確認した。だがその適切な消火活動が行われるためには、危険物を取り扱う業者が許可を取ることが欠かせない。事故を起こさないためには、制度設計とともに、適切に制度が運用されることが求められる。 (中野宏一/THE EAST TIMES)