タル・ベーラ監督『サタンタンゴ』30周年記念上映決定 『アウトサイダー』など4作品も
タル・ベーラ監督作『サタンタンゴ』の製作30周年を記念して、10月25日よりシネマート新宿にて1週間限定上映されることが決定した。 【写真】タル・ベーラ監督『サタンタンゴ』場面写真(複数あり) 56歳という若さで映画監督からの引退を表明したタル・ベーラが1994年に発表した本作は、ハンガリーのある村を舞台に、死んだはずの男イミリアーシュが帰還し惑わされる村人の姿を描く物語。完成までに4年の歳月を要した、7時間18分に及ぶ長編作品だ。 経済的に行き詰まり、終末的な様相を纏っている、ハンガリーのとある村。降り続く雨と泥に覆われ、村人同士が疑心暗鬼になり、活気のないこの村に死んだはずの男イミリアーシュが帰って来る。彼の帰還に惑わされる村人。イミリアーシュは救世主なのか、それとも……。 あわせて、製作30周年を記念した新ビジュアルも公開。横たわる少女と、それを囲み、疲れ果てた様子で見下ろす村人たちの姿が。終末感が漂う、物語のターニングポイントとなるシーンが、スクリーンと同じ横位置にレイアウトされたビジュアルとなっている。 さらに、『サタンタンゴ』の上映に合わせて、ベーラ監督が手がけた『ファミリー・ネスト』(1977年)、『アウトサイダー』(1981年)、『ダムネーション/天罰』(1988年)、『ヴェルクマイスター・ハーモニー』(2000年)の4作品が、11月1日よりシネマート新宿にて順次上映されることも決定した。 『ファミリー・ネスト』は、16ミリカメラを用いてドキュメンタリータッチで撮影された、ベーラ監督のデビュー作。「映画で世界を変えたいと思っていた」とベーラ監督自身が語る通り、ハンガリー社会の苛烈さを描いている。 『アウトサイダー』は、ベーラ監督の第2作目にして、カラー作品。本作以降すべての作品で編集を担当するフラニツキー・アーグネッシュが初参加した。 『ダムネーション/天罰』は、クラスナホルカイ・ラースローが初めて脚本を手がけ、音楽を担当したヴィーク・ミハーイと共に、“タル・ベーラ スタイル”を確立させた記念碑的作品。 『ヴェルクマイスター・ハーモニー』は、ハンガリーの荒涼とした田舎町を舞台に、天文学が趣味のヤーノシュを通して描かれる、全編わずか37カットという長回しで撮影された“漆黒の黙示録”。
リアルサウンド編集部