北朝鮮拉致動かせるか、トランプ氏 前回大統領時は安倍晋三元首相・被害者家族と「共闘」
思いに行動が伴うトランプ氏。政治の場でもそれは発揮された。
まず、被害者家族との初面会から約2週間後には、北朝鮮を9年ぶりにテロ支援国家に指定すると発表している。さらに、初面会翌年の2018年(平成30年)6月に実施された史上初の米朝首脳会談、続く19年(31年)2月の2回目会談時も併せて、いずれも、拉致問題を提起した。2回目会談では、「顕著な進展を見せていない」と金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記を追求する場面もあったという。
金氏ははぐらかすこともあったが、「いずれ(安倍氏と)会うかもしれない」との返答があったとされる。この感触を受け、安倍氏は、条件なしでの日朝首脳会談開催の意向を明言した。
拉致問題を巡るトランプ氏のこうした行動の背景には、安倍氏の幾度にもわたるトランプ氏への〝打ち込み〟があった。米朝のトップ会談が実現しうることを見越し、安倍氏はトランプ氏に対し、拉致問題の深刻さと、日本はこの問題で絶対に譲歩しないという決意を、ことあるごとに伝達。金氏に伝えるよう求めていた。
トランプ氏が米朝会談で、米朝間の懸案である核・ミサイルの問題だけに議論を終始しなかったのは、この取り組みが奏功したからだった。
今回の米大統領選から一夜明けた今月6日以降、トランプ氏は早くも各国指導者らと電話での〝首脳外交〟を開始。石破茂首相や、北朝鮮との対立が深まっている韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領とも実施した。金氏との再びの接触にも意欲を示しているとされており、対応に注目が集まっている。