撮影初日からキスも!堀田茜さん『インティマシーコーディネーター』と語る撮影現場のリアル|CLASSY.
イエスかノーか選択肢があることって重要ですよね
「YESかNOか聞かれもしない場面が多い。選択肢を持てる社会になって欲しい」(浅田)茜:すごく気遣いが必要なお仕事だろうと察するのですが、仕事の技術が実生活に役立っているなと思うことはありますか? 浅田:同意を得る、相手の気持ちを確かめるという仕事なので、これは私生活にも役立つかもしれません。 よく日本人はNOと言いづらい・言えない国民性とされますが、それ以前に「選択肢を聞かれてもいない」ことがすごく多いとこの仕事を通して感じました。相手の立場になって考えたときに、聞かれたほうが気持ちいい事柄って日常にすごくたくさんあります。 茜:そうですね。仕事の場面だと同僚や後輩に「これやっといて」とやってもらって当たり前の感覚で言ってしまう場面はよくあると思うんですけど、それを見つめ直す感じでしょうか。 浅田:そうですね。さっきも堀田さんが話した通り「やって当たり前でしょ。やる気ないの?」ていう精神論、どこにでもありますよね。雇われの身だからと我慢するんじゃなくて、ひとりひとりが自分の意思を持って主張できるようになると、どんな業界も変わっていくんじゃないかなと思っています。 茜:我慢を乗り越えてこそ一人前とされてきたけど、本人がどうしたいかが尊重されて、選択肢が与えられる時代になるといいですね。 浅田:それと、NOの理由を私は一切聞きません。「なんでできないんですか」とか。それも守られるべき人権だと思っていて。ただ、代案の選択肢が与えられるとみなさんしっかり考えるし、これはいいけどこれは嫌だと話してくれるし、一緒に考えることもできます。あとは、過去にやったから今回もできるよね、という前提もよくない考え方。人にはその時々のライフステージがあって、このステータスだからこの仕事をしたいと思うけど、それが変わったらできるかどうか変わるじゃないですか。 茜:そうですね。結婚してるしてない、お付き合いしている相手、子供がいるいないで状況は違いますよね。 浅田:だから都度、意思を確認することも大事です。 茜:人間関係に最低限必要なことでありながら常にそこまで配慮するのも大変そうですが、浅田さんご自身が疲れてしまいませんか? 浅田:そうやって心配していただくことは多いですが、関わった作品がいいものに仕上がるとすごくうれしいし、充実感や達成感が大きいので楽しくやってますよ。いい作品にしたいという目標はみんな一緒なので、関わる人みんなが楽しく、安心できるラインをいつも探ってます。俳優側と監督側どちらかに寄るわけではなく、あくまで中立でいるのが大事。 茜:今この業界がいい方向に進んでいることを読者に届けることで、他の業界にもいい流れが生まれるといいなと思ったので、今日は前向きなお話が聞けてよかったです。私生活にもすごく役立ちますね。いつか仕事の現場で浅田さんにお会いできる日を楽しみにしています。