岸田総理 次の「自民党総裁選」で麻生派と茂木派が連携したら……
団体や企業に金が流れる仕組み・構造を変えるきっかけになる可能性も
飯田)確かにコロナ禍のとき、飲食業界は苦しいままなのに、ある業界には補助金が出るなど、政治力のようなものをまざまざと見せつけられた気がします。 山川)よくわかるでしょう。また日本の場合、必ず業界団体や企業にお金が行き、企業はそこから従業員に「ちゃんと頑張って業績が上がれば賃金を上げますよ」という構造になっています。診療報酬にしても今回、「本体価格を引き上げるから働いている人たちの給料を上げる」という話ですが、あれは開業医にお金が行くのですよ。そこから先、働いている人にどれだけお金を出すかは開業医の判断次第で決まるわけです。どちらかと言うと、団体や経営の方にお金が流れます。この仕組み・構造を変えないと、いつまでたっても経済はよくならないと思っているので、今回はそのきっかけになるかなと期待しています。 飯田)ガソリン価格も、最初は「ガソリン税の上乗せ部分をどうするか」という話だったのに、いつの間にか企業への補助金にすり変わりましたものね。 山川)元売りにお金が流れてしまった。本来なら消費者にお金が行けばいいし、コロナ禍の失業についても雇用調整助成金という形で企業に流れただけですが、アメリカでは失業した人に直接給付するわけです。だから失業した人は、次はもっと競争力のある会社に移ることができる。そうしないと、いつまでたっても変わらない感じがします。
「次の総裁選がどうなるか」がポイント
山川)ただ、人事権とお金を本当に奪えるのかと言うと、簡単ではありません。 飯田)権限や権力が移行するだけで終わったら意味がないですよね。岸田総理が総理になった当初、「人事をやりたい」と言っていました。 山川)「次の総裁選でどうなるか」がポイントだと思います。仮に茂木派と麻生派が連携して、そこから次の総裁が生まれたとします。その総裁が次の閣僚人事で自分たちの派閥を優遇したら、人事権に関しては、その段階で今回のルールが崩れるわけです。