「明日、久しぶりに運動する予定……」知らなきゃケガする40代の事前準備とリカバリー術
運動会でお父さんが肉離れを起こす理由
ーーほかに注意すべきことはありますか? あとは、荷重関節です。足回り、膝周り、股関節周りは体重を支えながら動く関節で、筋肉がその関節を守っています。しかし、加齢とともに筋肉は落ちてしまいます。結果として、筋力が低下し関節をしっかり守れず、ストレスを受けたり怪我をしやすくなりますね。 ーー子供の運動会で肉離れしてしまうお父さんも多いと思いますが、それも筋力の低下、筋肉が硬くなっていることが原因? たとえばひざを曲げる場合、表側に力が入り、裏側は緩まないといけません。肉離れを起こすひとつの原因は、「緩めるべきときに緩められない」ことだといわれています。その理由は、神経のトラブル。単純に筋力だけの問題ではないんですね。 ーーつまり神経がバグっていると? 正解です。運動の機会が少ないにもかかわらず運動会で頑張ってしまうと、緩めるべき筋肉に「緩めろ」という指令を伝えられず、肉離れになってしまうんです。 あとは塩化ナトリウム、つまり塩が不足すると、人間の筋肉は緩められなくなってしまいます。食事や水分補給がきちんとなされていないと、肉離れが起きやすくなることも覚えておきましょう。
怪我をしないための鍵は「温度」!?
ーー最後に、30~40代の男性に向けて怪我をしないための事前準備について教えてください。 キーワードになるのが「筋温度」です。怪我を防ぐためには筋肉の温度を上げることが大切です。 寒さを感じていないから薄着でも大丈夫と考えずに、筋肉の温度管理を考えましょう。きちんと着込むことに加えて、体を温める食べ物や温野菜、温かい飲み物を取り入れるなどすれば怪我のリスクを減らせます。 またデスクワークの方は、30分に1回は立ち上がって、少し体を動かすようにしましょう。血流障害、筋肉の硬化を防ぐことができます。もし難しい場合は、かかと上げをするだけでも大丈夫です。 そして、普段からできるだけ階段を使ったり大股で歩いたりして、運動できなくても普段の生活環境の中でちょっとした時間を可動域を広げるために使う「意識」が重要です。 いきなり毎日ジョギングするとか、パーソナルジムに通うとかができないとしても、ちょっとした動作を面倒だと思わないことが怪我を防ぐ鍵になりますね。 ◇ 30~40代は仕事も忙しくなる世代。運動の重要性が分かっていても、なかなか時間の確保が難しいという方も多いだろう。でも、「いつかは……」と先延ばしした分だけ、筋肉はどんどん硬くなり、怪我のリスクは高まっていく。 ジム通いは難しくても、日常のちょっとした動作において意識を変えることから始めてみてはいかがだろうか? アントレース、河合良成=取材・文
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