東京の子育て〝初期費用〟いくらかかる?「出生数最少」「子育て世代の流出」も 第一子の保育園が始まり…
都知事選の争点の一つでもあった子育て政策。全国で東京都のみが合計特殊出生率で1を割り込み、子育て世代の東京都からの脱出の流れも加速する中、東京都で子育てをしている共働き世帯には、どんな課題があるのでしょうか。当事者が振り返ります。(朝日新聞デジタル企画報道部・朽木誠一郎) 【画像】妊婦に配布「妻の嫌な態度」ランキング 炎上し配布中止した自治体文書「産後も変わらずご飯を…」
「出生数最少」「子育て世代流出」
7日に東京都知事選挙が行われ、現職の小池百合子知事が3回目の当選を果たしました。 東京での子育ての当事者としては、まず都政には、とにかく目の前の生活に物質的な豊かさを望む、つまり子育てへの経済的な支援が欲しいというのが正直な気持ちでした。 例えば、コロナ禍における子育て支援の一環として、2021年度から2年間、子どもを出産した家庭へ都独自に10万円分の子育て支援サービスや育児用品などを提供する『東京都出産・子育て応援事業 ~赤ちゃんファースト~』。 現物支給という形でしたが、特に乳幼児期にはおむつなどのベビー用品や専用の家具・雑貨など何かと物入りであり、当事者世代のニーズを捉えた支援でした。 一方で、コロナ禍前まで、私自身は結婚願望もなく、国政選挙でも争点になる子育て政策には無関心でした。ライフステージが変わると、こうも価値観が変わるのかと自分自身、驚いています。 ここで、東京都の子育て政策が喫緊の課題になっている背景には、いくつかの差し迫った状況があります。 厚生労働省が6月5日に発表した『人口動態統計』によると、2023年に都内で生まれた日本人の子ども(出生数)は8万6347人で、戦後最少に。 1人の女性が生涯に産む見込みの子どもの数を示す合計特殊出生率は初めて1.00を切り、0.99となり、1を割ったのは全国で東京だけでした。都の少子化には歯止めがかかっていません。 また、国土交通省が18日に発表した2024年版の『首都圏白書』によると、東京都への転入超過数(転入者数から転出者数を差し引いた数)は、子育て世帯が多い30~40代で転出が転入を上回り、30代で7361人、40代は6334人減っていました。 一方で、30代の転入超過数が多かった自治体の上位20位は、さいたま市や茅ヶ崎市、横浜市、流山市、町田市などの「ベッドタウンの役割をもつ郊外の自治体」(首都圏白書)でした。 このように、今回は東京での子育てがかなり差し迫った状況であることが、立て続けに明らかになった直後の都知事選でもあったのです。