ポール・マッカートニーやスティーブン・キングも…予想外の「ひらめき」を逃さず形にするシンプルな方法
---------- 歴史に残る発見や、斬新なアイデア、偉大な芸術作品は、夜眠っているときに生まれることが多い……。そう指摘するのは、脳電気生理学者・元オックスフォード大学シニア研究員で、著書に『頭のいい人が問題解決をする前に考えていること』がある下村健寿氏だ。その科学的メカニズムと、「ひらめき」を逃さないためのコツを、下村氏が解説する。 ---------- 【写真】脳科学者がつきとめた…「運がいい人」が判断基準にしている「1つのこと」
夢のなかで予想外の発想が生まれる
過去に「ひらめき」を体験した人たちの例を参考にすると、ひとつのキーワードとして睡眠、または覚醒直後が重要であることが見えてきます。 睡眠中も当然、脳は活動を続けています。夢を見ることは、その証拠です。 夢は昼間の経験が反映されることが多く、予想外の発想を生みます。そして、その発想は、抱えている問題を驚くべき方法で解決することが多々あります。 化学者のアウグスト・ケクレは、夢のなかでおのれの尻尾に嚙みつく蛇のイメージを見て、ベンゼン環の化学構造をひらめきました。 同じく化学者のドミトリ・メンデレーエフも、夢のなかで周期律表を思いついたといわれています。 『シャイニング』や『ショーシャンクの空に(刑務所のリタ・ヘイワース)』『スタンド・バイ・ミー(The body)』の作者として有名なスティーブン・キングは、自らが見た悪夢の内容をもとにして、名作『呪われた町』を執筆したといわれています。
あの名曲も夢のなかで生まれた?
夢のなかの出来事を活用したのは、化学者や作家ばかりではありません。 1965年5月7日の朝、眠りから覚めたローリング・ストーンズのキース・リチャーズは、枕元に置かれたテープレコーダーが録音状態のまま止まっているのを発見しました。 巻き戻して再生してみると、そのテープにはギターで奏でたメロディが録音されていました。 30秒ほどメロディが続き、唐突にギターを投げ捨てる音がして、あとはテープが切れるまでずっといびきが録音されていたそうです。 つまり、リチャーズは、自分でも覚えていないなかで、寝ぼけて夢のなかでひらめいたメロディをギターで奏で、枕元のテープレコーダーに録音し、そのまま再び眠ってしまったというわけです。 じつは、このときのメロディが、のちに名曲『サティスファクション』の冒頭のメロディとなったのです。 つまり、「ひらめき」は、寝ている時間に夢というかたちで訪れることが多いのです。