水上恒司、黒崎煌代、三浦獠太、黒田有 『ブギウギ』スズ子を支えた個性豊かな俳優たち
ドラマ未経験ながら大きなインパクトを残した六郎役・黒崎煌代
その後に続くネクストブレイク候補としてまず思い浮かぶのが、スズ子の弟・六郎を演じた黒崎煌代だ。初回の放送で“亀が好きなちょっとトロい子”と鈴子(澤井梨丘)のナレーションで紹介されていた幼き日の六郎(又野暁仁)。マイペースな性格ゆえに学校ではからかいの対象になってしまっていたが、誰よりもピュアで心優しく、時に本質を突いた言葉で周囲に気づきを与える六郎は視聴者からも愛され、「この子が笑顔でいられる世の中であってほしい」と思わざるを得ないような存在となっていった。 そんな六郎が戦地に旅立つ前に、「死ぬのが怖い」と吐露する場面は今思い出しても目頭が熱くなる。役と完全に一体化したようなあまりにナチュラルな演技だったので、このドラマが本格的な俳優デビュー作と知った時の衝撃は大きかった。21歳という若さながら、往年の二枚目俳優を思わせる硬派な出で立ちが印象的な黒崎。スクリーンデビュー作『さよなら ほやマン』での好演も話題となった彼は間違いなく、これからの日本映画界を盛り上げていく存在となるだろう。 もう一人は、主演の趣里と同じくトップコートに所属する俳優・三浦獠太だ。彼は山下(近藤芳正)からマネージャー職を引き継いだ、ポンコツだけどなぜか憎めない甥のタケシを好演している。タケシはもともと音楽はおろか、夢中になれるものが何もなく、職を転々としてきた。婚約者と一緒にアメリカへと旅立ったスズ子の元付き人・小夜(富田望生)と同じくハレーションを起こすキャラクターではあるが、不器用な子を放っておけない性分のスズ子は義理と人情の精神で彼の面倒を見ることに。 今では、大スター・スズ子のマネージャーとして大威張りしているタケシ。調子乗りなところもあるけれど、「この人は自分を見捨てない」という安心しきった表情を浮かべる彼を見ていたら色んなことがどうでもよくなる。三浦は一歩間違えればうざいキャラになってしまいそうなところを、絶妙な塩梅でタケシを愛されキャラに留めた。彼もまだデビュー5年目の、これからがますます楽しみな若手だ。 『ブギウギ』はもうすぐ幕を閉じるが、4人にはぜひともズキズキワクワクするような活躍を今後も見せてほしい。
苫とり子