トヨタ セリカクーペ2000GT(昭和52/1977年8月発売・Ra40型)【昭和の名車・完全版ダイジェスト091】
スポーティなだけでなくラグジュアリー性も両立、走りの性能も一段レベルアップして登場
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第91回目は、2代目となり走り味がグッとアップした、トヨタ セリカクーペ2000GTの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】初代セリカのクーペと言えば「ダルマ」の愛称で親しまれたが、2代目セリカはアクが抜けた感じ。初代に比較してインパクトはやや弱かったかもしれない。(全8枚)
昭和52(1977)年8月にトヨタの看板車であるセリカが第2世代となった。日本市場で「スペシャリティカー」という新しい分野を築いたモデルといえば、初代セリカにほかならず、当然2代目にもデビュー当初から注目が集まった。 まずボディサイズだが、従来型と比較してひとまわり大きなものとなった。クーペとLB(リフトバック)という2種類のボディ形状が従来型と同様に設定されていた。注目の2000GTに搭載されたエンジンは、2ℓ直列4気筒DOHC8バルブの18R-GU型だ。 ソレックス・ツインキャブレターとの組み合わせで、 130ps/5800rpmの最高出力を発生する。これは先代の2000GTやマークⅡ GSSなどから引き継がれたものだ。 とかく当時のDOHCエンジンというと、シャープで鋭い吹け上がりだけが話題になる傾向にあったが、この2Lユニットの場合には、どちらかと言えば低回転域から十分に発揮される強大なトルク感が印象的だった。誰にでも扱いやすい特性が好まれた。 サスペンションはフロントがマクファーソンストラット+コイルスプリング、リアはラテラルロッド付きの4リンクと基本的には初代を継承しているものの、トップグレードの2000GTにはリアスタビライザーが標準装備され、その結果ステアリング特性は安定性が増すとともに、よりニュートラルなものに変化した。 実際にセリカ2000GTの卓越したコントロール性は、多くのユーザーから絶対的な支持を得るに至った。FRという駆動方式との組み合わせで、まさにステアリングとアクセルワークで自在なコーナリングを楽しめるといった表現がピッタリだ。接地性の上がったリアサスペンションの影響も大きいだろう。 セリカは確かにスペシャリティカーとして誕生したモデルだが、その走りは純粋なスポーツカーに匹敵する素晴らしいものであった。 もちろんスペシャリティカーとして必要かつ不可欠なラグジュアリー性も十分に確保されている。キャビンはボディサイズの拡大に伴ってより開放的なものになり、インスツルメントパネルも、落ち着きのあるデザインながら、その中に秘められたスポーツ性が感じられるものになっている。 ただし、初代のセリカの洗練されたスタイリングからみるとやや野暮ったくなってしまったのも事実。これは好みの分かれるところとなった。 GTシリーズは、もちろんセリカの最高級グレードだ。当然のことながら装備レベルも、ライバル車種と比較しても一切遜色を感じさせないものだ。 スポーツ性を感じさせてくれる各種メーター類はもちろんのこと、電動リモコンミラーやパワーウインドウ、そしてAM/ FMラジオなど、当時の先端をいく装備がほぼフル装備の状態で備えられていたほか、4輪ディスクブレーキなど走りの性能に直結する機構も標準で与えられている。まさにスペシャリティカーの真骨頂ともいえるだろう。 2000GTはトルク感を強く主張し、高速クルーザーとしての魅力を強く感じさせるモデルとして存在していたが、バリエーションとして1600GTにも触れておこう。 先代からのイメージもあり、こちらがよりセリカらしいセリカとも言えた。これは紛れもなくワインディングでの軽快な動きに最も魅力を感じるモデルとなっていた。1600GTのコーナリング特性は、2000GTよりもさらにシャープでニュートラルなものとなり、DOHCエンジンの特性を十分に認識していれば、1600GT本来の走りを堪能することができた。 また搭載エンジンやサスペンションなど、機構的な部分は完全に共通であるものの、より硬派な走りに徹したいというユーザーのために、トヨタはGTVと呼ばれるスポーツモデルも設定していた。こちらは数々のモータースポーツイベントにも投入され、そこでの活躍がさらにセリカの人気を煽った。 これも若者の心をつかみ、GTVはこの後もトヨタのモータースポーツベース車のグレードとして残っていく。初代セリカは誰にでも簡単に乗りこなせるスポーツモデルとして企画された。この第2世代もその基本的なコンセプトにおいて一切変わることはなかった。