<700社以上の日本企業が進出>インテルも工場建設へ オハイオ州知事が語る企業誘致戦略とは
ホンダなど多くの日本企業が進出している米国の中西部に位置するオハイオ州。マイク・デワイン知事(77歳、共和党、2期目)は州都コロンバスで小誌のインタビューに応じた。デワイン氏は「オハイオ州の経済は順調で、進出した企業に対しては豊富な水資源や安価な電力供給をはじめ、進出後のフォローアップも行っているため、立地としても、とても魅力的」と述べ、雇用拡大につながる日本企業のさらなる進出に歓迎の意を示した。 同州はホンダが1979年に二輪車の現地生産を開始し、80年には日本の自動車メーカーとして初めて乗用車の現地生産を開始したことから脚光を浴びてきた。それ以降、同州には自動車関連部品工場だけでなく、多くの日本企業が生産・販売拠点を設けている。 2000年代に入ってからも進出が相次ぎ、日本貿易振興機構(ジェトロ)の調べによると、20年には860社が進出していた。その後は円安傾向やサプライチェーンの見直しなどもあり、22年は766社に減少したが、日本企業の同州への累積投資額はカリフォルニア州に次いで2番目に多く、日本とは関係の深い州の一つだ。 進出に当たっては税制優遇措置が受けられるなどのインセンティブがある。デワイン知事は「私が知事に就任した時はトランプ大統領だったが、今はバイデン政権のもと、日本企業を誘致する取り組みを続けています。大統領の方針は重要ですが、アメリカではビジネス環境は州レベルで確立し、税金も州レベルで設定される。このため大統領選挙の結果によって、インセンティブに大きな変化が起きることはありません。ほかの州に対しても優位性を持っているため、インセンティブは今後も維持します」と強調した。
ハイテク産業も誘致へ
また、自動車などに限らず、ハイテク産業誘致にも意欲を示す。 「アメリカのイノベーションといえば、西海岸のシリコンバレーと東海岸のボストンを思い浮かべる人が多いのですが、これらの地域に対抗するため、中西部に卓越性をもたらす戦略を採用したいと考えています。特筆すべきは、半導体大手のインテルが進出先として40もの選択肢がある中で、オハイオ州に工場を建設することを決めたことです。つまり、ここには、必要なスキルを持った大学卒業生が数多くいるからです」と述べ、ハイテク関連の人材が豊富にいる点を挙げた。 隔年ごとに日米持ち回りで開催している日本・米国中西部会・日米合同会議については「今年はオハイオ州知事主催で9月に開催します。日本からは主要大学の学長も参加して、オハイオ州と日本との間で、どのようなイノベーションやパートナーシップを築くことができるか話し合う予定です。非常に戦略的な会議になる」と期待感を示した。
中西 享