「花粉症かなと思ったら難病」朝ドラ俳優を襲った病魔、救急搬送と“幻聴”のリアルを聞いた
4か月以上の入院生活後、退院してからは……
途中、転院を挟みながらリハビリを地道に続け、4か月以上にもわたる長期入院の末、7月26日に退院。 しかし、体重は入院前と比べて13キログラム減。痩せたことでお尻の肉がなくなって骨が当たるため、痛くてトイレに座っていられない状態だった。 今は体重も元に戻り、主にオンラインで家庭教師をしつつ、週1回リハビリに通っている。日常の静的な動きならほとんど問題ない程度には回復したが、走ったりジャンプしたりするのはまだ難しいという。 「例えば、ゆっくりしか歩けないので、横断歩道は信号が青になった直後じゃないと最後まで渡れません。外出時は時間に余裕をもって出るようになりました。 今の僕の状態をわかったうえでやらせていただける仕事もあるし、まだ難しくてお断りさせていただくこともある。でも一日一日、できることが増えていくのはうれしいです。この調子で、ゆくゆくは何の制限もなく芝居ができるようになりたい。目下の目標はそれです」 病気の特性上、食事制限や行動制限もないそうで、徐々に以前の自分に近づいている感覚はあるとか。 「再発の可能性も、実はゼロではないそうです。だから感染症には気をつけないといけないし、担当医には食中毒を引き起こす細菌である『カンピロバクター』への感染には特に注意が必要と言われました。 でも、怖がっていたら何もできないので、無理のない範囲でリハビリと仕事を続けていきたいですね。ゆくゆくは趣味の野球が以前のようにできるようになりたいですから」 驚異的な早さで回復した小堀さん。ただ、中には後遺症が残ってしまう患者もいるのが、この病気の怖いところだ。 「僕はありがたいことにさまざまな幸運が重なり、ここまで回復することができました。 今もこの病気で苦しんでいる方やそのご家族から、たくさんご連絡をいただきます。回復した一例として希望となれるよう、これからもこの病気に関する発信をしていきたいです」 また、ギラン・バレー症候群は難病ではあるものの、日本では『難病医療費助成制度』の対象外となっている。高額療養費制度を使えば負担は減るものの、医療費は高額になる。 元気なときはピンとこないかもしれないが、事前にこの病気を知っておくことが自分や周囲の人を助けることにつながるかもしれない。 小堀正博(こぼり・まさひろ)●大阪府在住。2006年、映画『かぞくのひけつ』でデビュー。『舞いあがれ!』『おちょやん』『まんぷく』『べっぴんさん』『マッサン』などのNHK朝ドラやCMで幅広く活躍。並行してオンライン家庭教師の仕事にも注力 取材・文/遊佐信子