【大学野球】慶大の代打・渡辺憩がまたも大仕事でドロー 昨夏Vメンバー福井直睦ら代打起用4人がヒット
◆東京六大学野球春季リーグ戦 第4週第2日▽立大4―4慶大(5日・神宮) 慶大は立大と4-4で引き分け、1勝1分けで6日の3回戦にもつれ込んだ。9回表に2点を勝ち越されたその裏、1点差に迫ると、昨夏の甲子園で慶応(神奈川)の107年ぶりの優勝に正捕手として貢献した渡辺憩(1年)が代打で同点二塁打を放った。 高まる胸の鼓動がたまらない。1点を追う9回裏2死三塁。渡辺憩は代打に指名された。打席に入る前、堀井哲也監督(62)からこう耳打ちされた。 「とりあえずバットに当てれば、何か起きるから」 カウント2-2からの5球目だ。甘く入った変化球を引っ張った。打球は左翼線に転がる。二塁に到達すると、本能のままに拳を突き上げた。 「2ストライクと追い込まれからでしたが、何とか当てて、何か起こそうという気持ちでした」 肝っ玉ルーキーが神宮の杜に再び、熱狂を呼び込んだ。 4月29日の法大3回戦ではリーグ史上初の初打席代打サヨナラ本塁打を放つ鮮烈デビューを見せた。 「去年の夏、大舞台でたくさん試合をさせてもらったんで、その経験がだいぶ生きています。大きな場面で自分のスイングができるのは、甲子園があったからだと思います」 昨夏の甲子園で慶応のVメンバー中、最高打率となる4割7分1厘をマークした福井直睦(1年)も2点を追う5回2死一、三塁のチャンス、代打で登場。リーグ戦初安打初打点となる二塁適時安打を放ち、そのまま左翼の守備に就いた。 渡辺憩や福井ら、堀井監督が代打起用した4選手がヒットを放つなど、采配がズバリ的中。それでも指揮官は「打った選手がすごい。選手が前向きに自信を持って打席に立てるよう、練習の段階から心がけています」とナインを称賛した。1年生の躍動にも「上級生も負けられない気持ちになる。チーム内の競争に、いい刺激になっている」と歓迎した。 渡辺憩は高校野球とはひと味違うリーグ戦に「どの試合も緊張感があって、1球で流れが変わるゲームばかり。そういう試合で結果を残せているというのは、自信になります」と笑顔になった。立大戦では4分けを挟み、20連勝は継続中。“若き血”がもたらした化学反応で、陸の王者がさらに魅力的な集団になってきた。(加藤 弘士)
報知新聞社