おおむね好評の『THE SECOND』優勝会見で新王者からこぼれた大会の課題とは
芸人側に目を向けると、準優勝のザ・パンチや昨年準優勝のマシンガンズのようなキャラとネタは1日2本程度が限界に見えるし、「1日・6分×3本で勝てる可能性が高いのはガクテンソクのような正統派」という点は、一般層ですら準決勝あたりで気づいていただろう。 お笑い好きの下馬評でも「本命・ガクテンソク、対抗・タイムマシーン3号とザ・パンチ」という声が多かっただけに、生放送でシナリオがない大会なのだが、昨年の結果も含めて「こういうコンビが優勝しそう」というイメージができる。それが長い目で見て良いことなのか。それとも、良くないことなのか。これから検証が必要だろう。
審査員コメントでエンタメ性が低下
地上波のテレビ番組は今なお一般層にリアルタイムで見てもらわなければビジネスとして成立しづらいのだが、その点で『THE SECOND』は再検討が必要なところがいくつかある。 その筆頭は4時間10分という放送時間。近年の賞レースを見ていくと、『R-1グランプリ』が2時間~2時間30分、『キングオブコント』と『女芸人No.1決定戦THE W』が3時間、『M-1グランプリ』が3時間40分であることから、突出して長いことが分かるだろう。今では絶対的な存在の『M-1グランプリ』もスタートから12年目までは2時間30分程度に留めており、人気が広く定着する前に長時間見てもらうことの難しさを物語っている。 そして視聴者側からネット上に多数書き込まれていたのは、「進行が遅い」「審査員のコメントが微妙」というニュアンスの指摘。つまり、「漫才以外の時間に不満がある」ということだろう。確かに『M-1グランプリ』や『キングオブコント』は、時に称賛や物議を醸す審査員のコメントがネタと並ぶ醍醐味の1つとなっているが、お笑い通とはいえ一般人にコメントさせる『THE SECOND』には、それがほとんどない。 一般人にトップ芸人並みのコメントを期待することも、生放送でリスクを負った発言をさせることも難しいのは当然だが、残念ながらエンタテインメントとしての密度は下がってしまう。その意味で、「お笑い通の一般人に偏っている審査員の構成に、有田や華丸・大吉などレジェンド級の芸人を加えてほしい」というコメントが散見されたのは当然かもしれない。いずれにしても、フラットな一般層も含め、審査員の構成は今後も固定せず議論を重ねていく必要性を感じさせられた。 さらにもう1つ気になったのが、ハイパーゼネラルマネージャーの有田哲平、スペシャルサポーターの博多華丸・大吉について。一般審査員のコメントが薄くなってしまう分、彼らにかかる期待は大きいのだが、時に笑いを交えてそつなくまとめていたのはさすがだった。ただ、称賛のみで敗因を指摘したり、改善点を提案したりなどの核心にふれるようなコメントがほとんどなかったのも事実だ。