英国で一番忙しい? 日産の巨大工場でクリスマス 休みの日も設備アップグレード
秒単位でラインを調整する難しさ
ワトソン氏と従業員が計画しなければならないことの1つに、生産ラインに「ギャップ」を設けるかどうか、また設ける場合はどこで設けるか、というものもある。 「ラインを完全に空にしない場合は、2~3台の車両をラインから移動させ、ギャップを設けることで、エンジニアがワークステーションや設備にアクセスできるようにします」 「単純な話に聞こえるかもしれませんが、生産のタイミングを秒単位で調整しなければなりません。シャットダウンしたとき、設けたギャップが適切な場所に収まるようにするためです」 今年のクリスマスには、生産ライン2を「新型バッテリーカー」に対応できるようにアップグレードすることもワトソン氏の仕事の1つとなる。これは、次期リーフを意味する工場内での用語と思われる。 ギャップを設ける作業は、電車のドアが自分の目の前で停まるように駅のプラットフォームでどこに立つかを考えるのに似ている。つまり、ワークステーション75で3台分のギャップを必要とする場合(各ラインには1000以上のワークステーションがある)、ライン75がライン1からどれだけ離れているかを計算し、シャットダウンでラインが停止したときにギャップが適切な場所に来るようにしなければならない。 「準備するのは悪夢ですよ。しかし、大規模な設置作業を行わない限りは、ラインのギャップは便利です。ただし、シャットダウン中はラインを固定しておかなければなりません。そうすれば、再起動時にすぐにクルマを作れます」 再起動の前に、ワトソン氏のチームがラインを確認し、すべての設備が適切に機能しているかをチェックする。当然のことながら、休暇から戻って来る4000人の組み立て作業員は、多少ウォームアップが必要だろう。また、新しい設備に慣れる必要もあるかもしれない。 最初のシフトでは、ラインは通常よりもゆっくりと稼働する。その後はフル稼働となり、2025年には新型キャシュカイ、ジューク、そして間もなく新型リーフがラインから次々と出荷され始める。そしてワトソン氏は、2027年のクリスマス・シャットダウンに向けて準備を開始する。
執筆 AUTOCAR JAPAN編集部