現役ドラフトでチャンスをつかんだ圧倒的スケール感のニュースター!! 日本ハム・水谷 瞬は本物か?
■狭いスタンス、コンパクトな回転、抜群のスイング軌道 では、今季から移籍した日本ハムではなぜこれほど打ちまくっているのか? 「ひとつは、万波中正がブレイクした流れを踏まえ、次のブレイク候補として新庄剛志監督の期待を受けたことが大きい。4月の1軍初昇格の際は結果が出なかったものの、その後は2軍で本塁打1位(8本)と無双し、交流戦前の再昇格に成功。期待に応えました」 チャンスを生かせたのは、もちろん打撃技術の向上もあったはず。ソフトバンク時代との違い、現在の打撃フォームを掘り下げていこう。 「ソフトバンク時代は少し前かがみの構えでしたが、今は背筋がスッと伸びて、古田敦也さん(元ヤクルト)やMLB首位打者3度のホセ・アルトゥーベ(アストロズ)のような構えになり、バランスがグッと良くなりました」 また、スタンスの狭さも特徴的だという。 「脚が長く高重心ですが、スタンスが以前よりも狭くなり、コンパクトな回転でスイングできるようになった。でんでん太鼓のようなイメージです。 レジェンドの張本 勲さん(元巨人ほか)もよく指摘していますが、スイングを安定させるためにはスタンスは狭いほうがいい。3度の三冠王の落合博満さん(元中日ほか)もスタンスは狭かったです」 こうした構えのバランスが良くなったことに加え、「水谷の魅力はスイング軌道」とお股ニキ氏は語る。 「スイング軌道がとにかく抜群。速いストレートに押され気味でも、ポイント近くでしっかりととらえることができる。そして、手首を返すタイミングもいいので、変化球には泳ぎかけながらも体勢を残し、左手一本でも飛距離を出せる。ミートポイントに奥行きがあるから、打率と長打の両立が可能なんです」 変化球のさばき方に関しては、ソフトバンク時代に師事した松田宣浩さんの影響もあるのではないか、と考察する。 「松田さんもあえて前に出されかけながらも、体勢を残してさばくことができる打者でした。松田さんは統一球問題のあった11年に、48本塁打を記録した中村剛也(西武)に次ぐ25本塁打を放ちましたが、今季の飛ばないボールにも適した打ち方といえます。 その上で、水谷はコンパクトなスイングができるので、松田さんよりも打率を残せるんです」 実際、水谷はどのコースでも満遍なく打つことができ、穴がない。 「水谷は基本的にハイボールヒッターですが、低めに落ちる変化球を打つのが抜群にうまい。パ・リーグの打者はフォークやスプリット系の落ちる変化球が苦手なタイプが多い中、水谷は異質な存在です。 だからといって、スピードボールに弱いわけではなく、ストレートの打率も高いですし、スライダー系の変化球も苦にしません。ストレート待ちでも変化球に反応できるから穴が少ない、といえます」