交際10年の“男性同士カップル”が2人で家を買ったワケ「子供ができないからこそ、あえてかなりの金額を家に注ぎました」
憧れのマイホーム購入を実現する道のりは、誰にとっても大変なものだ。それが同性カップルともなると、さらにハードルが高くなる。差別や偏見、お金の問題。そもそも同性同士で住宅ローンは組めるものなのだろうか。 筆者(倉本菜生)自身もバイセクシャルで、過去に「同性同士で家って買えるの?」と調べてみたことがある。しかしネット上には情報や体験談が少なく、何が必要なのか、どんな手続きをしなければならないのか、いまいち分からずじまいだった。 ⇒同性カップルのしょうさんとけいさん。自宅での一コマ LGBTQカップルが家を買うとき、いったい何から始めて、何を用意すればいいのか。あまり表には出てこない購入までの詳細な流れと手続きについて、実際に注文住宅を購入したゲイカップルの二人に取材した。 要となるのは、「様々な書類の準備」「公正証書の手続き」なのだとか……。
同性カップルが注文住宅を購入したワケ
YouTubeチャンネル「ぼくらの一軒家」を運営するしょうさん・けいさんは、交際10年目になる同性カップル。念願の注文住宅を購入し、2024年1月に竣工。無事に引き渡しが完了した。一軒家購入のきっかけについて、ふたりはこう語る。 「将来のことを考えたときに、ずっと家賃を払い続けるよりは、ちゃんと資産として家を持ちたいなと思ったんです。最初はマンションの購入を検討していましたが、途中から一軒家を建てたほうが自分たちで設備もこだわれるし、コストもちょっと低く抑えられるなと」 土地を買って家を建てる。そう決めたふたりは、自分たちで調べながら行動を始めた。いちばんの障壁となったのは、やはり住宅ローンだ。
LGBTQのペアローンでオススメの金融機関は?
「同性カップルで家を買う場合、片方が単身者ローンを組むことが多いです。ただ単身者ローンでは融資額が低いので、理想の注文住宅を建てられない。それもあって、ペアローンを選択しました」 同性カップルが利用できる代表的な住宅ローンといえば、長期固定金利タイプの「フラット35」だ。住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している商品で、2023年1月より同性パートナーとも連帯債務で申し込めるようになった。 しかし、しょうさん・けいさんがローンを選ぶ際には、まだ同性カップルの利用を認めておらず、結果的にふたりは住信SBIネット銀行のペアローンを選択した。 「そもそもLGBTQのペアローンを認めていない金融機関が多く、スタートの時点で選択肢はかなり狭められていました。そのなかで住信SBIを選んだのは、金利が低くLGBTQに対して柔軟な対応をしてくれたからですね。同性カップルが住宅ローンを受けるには、通常の夫婦と比べても手続きが複雑で時間がかかります。 大抵のメガバンクはLGBTQ向けの制度が確立していて、マニュアルも用意されているので話がスムーズです。一方で、審査が比較的甘いと言われている地方の信用金庫などは、LGBTQカップルのローン審査手続きをしたことがない担当者も多い。ホームページでは対応できると書いてあっても、いざ行ってみると窓口の銀行員の方も必要な書類が分からなかったりして、うまくいかなかったですね」 住宅ローンの申し込みには仮審査と本審査がある。仮審査の段階では、保険証などの本人確認書類や、源泉徴収票などの収入を証明する書類、購入する不動産の価格や所在地などが分かる資料を提出するだけで済む。 しかし本審査まで進むと提出書類が一気に増えるため、必要書類の事前リストアップと早期の取得がカギを握るそうだ。 金融機関によっても異なるが、以降はしょうさん・けいさんの実際のケースから紹介していこう。