廃盤トミカの“大量開封”が大反響 大人買い動画から紐解く日本のおもちゃカルチャー
子どものころ、お小遣いを握りしめて買っていたおもちゃへのワクワク感を、大人になったいま追体験できるチャンネルがある。 【写真】クローラークレーンや新幹線など、廃盤したトミカの数々「好きなものを大量に買ってしまいます」 チャンネルの概要欄には、「私はコレクターです。好きなものを大量に買ってしまいます。大人なので、稼いだお金で自由に好きな物を買います。たとえ生活が苦しくなろうと欲しいものを買っていきます。」と、清々しいまでのコレクター魂が記載されている。 そんなコレクターが運営しているのが、Bulk buy collector 「大人買いコレクター」チャンネルだ。あのころ欲しかったおもちゃを“大量に購入して大量に開封する”という、大人だからこそできる遊びを投稿している。 ・海外ウケ抜群 日本特有の精密さが光るトミカの大量開封 紹介しているおもちゃのラインナップは、知育菓子、廃盤した『ロングタイプトミカ』、ポケモンのフィギュア、『ぷちサンプル 珈琲所 コメダ珈琲店』など、メジャーなものからマニアックなものまでさまざまだ。 なかでも圧倒的な再生回数を叩き出しているのが、「トミカ」の大人買い動画である。 こちらの「廃盤ロングトミカを開封!クローラークレーン、エレトラック、搬送車、新幹線、軌陸車など」という動画は、2024年1月18日時点で1324万回再生となっている。トミカ(ロングタイプ)は2010年から発売開始したシリーズで、普通サイズのトミカに比べて大きさが倍になり、連結や取り外しができるのが特徴だ。 動画に対して日本語のコメントはほぼ見当たらず、海外の視聴者がかなり多いことがわかる。トミカは日本の『タカラトミー』が生み出した人気シリーズだが、「海外版TOMICA」も展開しているため、世界的に認知されているおもちゃでもある。そもそもトミカの認知度がワールドワイドなこともあり、動画もここまで大きな反響を呼んだのだろう。 ・TikTokでも一大コンテンツになっている知育菓子 このチャンネルでもうひとつ大きな反響を読んでいるのが、知育菓子の動画シリーズだ。この「楽しすぎる「日本の知育菓子」ハンバーガー、たこ焼き、寿司、おまつり、ケーキ、ドーナッツなど」という動画は2024年1月18日時点で6070万回再生を叩き出している。 知育菓子というジャンルは、数年前からTikTokを中心に大きなムーブメントになっている。 日本の知育菓子が世界に広まったのは、クラシエが発売している『グミつれた』の動画がきっかけである。その後、粉と水を混ぜるだけで本物の食品そっくりなお菓子がつくれる知育菓子の動画も人気になり、知育菓子はショート動画の世界でムーブメントとなった。 改めて本チャンネルについて振り返ると、ただ大人買いをしているだけではなく、視聴者が求めているおもちゃのトレンドや希少性を分析して動画に還元していることがわかる。 そして純粋にここまでの数のおもちゃを保有しているコレクター魂にも驚きだ。2023年7月5日には、チャンネル運営者が自宅にあるトミカを公開しているのだが、ちょっとした業者なのかと思うほどの量が保管されている。動画で紹介しているのはトミカだけではないので、ほかのおもちゃも大量に保管されているのだろう。 集めたくても実際に実行するのはなかなか難しいので、動画にして届けてくれるのは視聴者からするとありがたい。“ちょっと気になるけど自分でやるのは難しい”という痒いところに手が届くことを代わりにやってくれるのは、YouTubeならではの魅力ではないだろうか。これからも、子供心をくすぐるような動画を世界に届けて欲しい。
はるまきもえ