復興への一歩 南三陸が能登につないだ“恩返し” 東日本大震災から13年
日テレNEWS NNN
能登半島地震の爪痕が残る石川県七尾市。今月2日に地元の商店が集まって、復興イベントを開催しました。活気を取り戻し、復興へ一歩進み出した被災地。そのきっかけは、東日本大震災の復興の経験でした。 ◇ 記者(2011年3月、宮城・南三陸町) 「コンクリートの建物を残して建物はすべてさらわれてしまいました」
東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県南三陸町。あの日、日常は一変しましたが、震災からわずか1か月半で開催されたのは、福を興す「福興市」です。 「いらっしゃいませ! いらっしゃいませ!」 南三陸の商店が集まって企画し、全国各地の商店街から支援を受け、20店舗が参加しました。再び立ち上がるきっかけになりました。 震災翌年には仮設商店街、2017年には、今の「さんさん商店街」がオープンしました。“復興の象徴”になり、これまでに390万人以上が訪れています。 ◇
「福興市」から商店街を立ち上げた一人が、水産加工会社を営む三浦洋昭さんです。 マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん 「自宅と工場と店舗、流されまして。ゼロスタート」 後押ししたのは―― マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん 「阪神・淡路大震災で大火になった商店街の代表の方。ずっと何回も足を運んでもらって、再開を後押ししていただいた」
今、三浦さんたちは、その“恩返し”をしています。地元の特産品を箱に詰め、元日に被災した石川・能登へ思いを込めて無償で送ります。 マルセン食品代表取締役 三浦洋昭さん 「『いらっしゃいませ』『ありがとうございます』。通常に戻ってきて、普通の生活に少しずつ近づいていければ」 神戸から南三陸へ引き継がれた思いは、能登へ――。 ◇ 石川県七尾市。歴史ある一本杉通り商店街では、多くの店が再開できていません。一本杉通り振興会の会長、高澤久さんは、経営するろうそく店の店舗が倒壊しました。 一本杉通り振興会・会長 高澤久さん 「毎日お客様が和ろうそくや線香、買い求めてくださるのが日常でした。それが断ち切られた。一瞬にしてなくなった」 そこでアドバイスを求めた先が、震災直後に商いを再開し復興を成し遂げた、南三陸町の「さんさん商店街」でした。