南極でコウテイペンギンのひなが大量死、2023年の記録的な海氷の減少で
英国南極観測所によると、2023年の記録的な海氷の減少によりコウテイペンギンのひなが大量に死んだ。同観測所の研究者によると、氷の解けるのが早すぎたため、ひなたちは水を通さない羽に生え代わる前に海に落ち、凍死するか溺死するなどして数万羽が死んだという。 コウテイペンギンはペンギン種としては世界最大で、南極に2つしかない固有種の1つ。卵を産み、ひなを育てるためには海岸にしっかりと張り付いた海氷が必要だ。 「今世紀末、つまり現在から75年後までの間に、およそ99%のペンギンがいなくなり、少なくともコウテイペンギンは全滅するだろうと予測している」――そう語るのは、人工衛星を使って野生動物の研究をしている、英国南極観測所のピーター・フレットウェルさんだ。 氷の融けるのが早すぎると、コウテイペンギンのひなは水を通さない羽が完全に生えそろう前に海に入らなければならなくなるとフレットウェルさんは話す。「氷が融けるのが早すぎると、ひなは防水羽がないまま海に入ってしまい、死んでしまう。凍死するか溺死する。」 昨年、南極大陸に66カ所あるコウテイペンギンの生息地のうち14カ所で実際にそうしたことが起きた。専門家によると気候変動と気温上昇により、南極の海氷が記録的な低さまで縮小したためだという。 一方、環境の変化に適応しているペンギンたちもいるようだ。2023年は、融けた海氷の面積が前年よりも大きかったにもかかわらず、コウテイペンギンの生息地では2022年よりも繁殖失敗が少なかったという。