年金は“繰り上げて”受け取るつもりです…年収700万円の定年直前59歳サラリーマン、受給額を減らしてでも「繰上げ受給」を検討するワケ【CFPの助言】
超高齢社会の日本では、老後の資金不安を軽減させたいという考えから、年金の受給開始時期を後ろ倒しにして受給額を増やす「繰下げ受給」が注目されがちです。しかし、なかには受給額を減らしてでも「繰上げ受給」を選択する人も。いったいどちらを選択すべきなのか、老後の暮らしに悩むAさんの事例をとおして、株式会社よこはまライフプランニング代表取締役の井内義典CFPが解説します。 【早見表】年金に頼らず「夫婦で100歳まで生きる」ための貯蓄額
再雇用で年収“ほぼ半減”…定年後の暮らしに悩むAさん
サラリーマンのAさんは、今年の9月で60歳を迎えます。40年勤めた会社の定年を目前に控え、老後の暮らしについて悩んでいる様子。現在の年収は約700万円ですが、定年後の再雇用では約400万円に下がる予定です。 「300万円も減るのか。これはまずいな……」老後のお金について悩んでいたAさんは、「年金繰上げ受給」の存在を知りました。繰上げ受給を選択すると、年金は65歳からではなく最速60歳から受け取ることができるようです。 「年金受給額は減らされるけれど、給与と年金を両方受け取ることができれば、いまの生活レベルをあまり下げずに済むかもしれない」 こう考えたAさんは、FPである筆者のもとに、自身の老後プランについて考えて欲しいと相談に訪れました。 なお、Aさんは現在、妻のBさんと2人で暮らしています。Bさんは、結婚前は会社員でしたが、結婚後は長いあいだ専業主婦として家庭を支えています。 Aさんが「繰下げ受給」ではなく「繰上げ受給」を望むワケ Aさんは「知り合いに、受け取るお金が増えるからと年金受給を70歳まで繰下げたにもかかわらず、翌年に71歳で亡くなってしまった人がいたんです。僕もいつまで生きていられるかわかりませんし、繰下げ受給はせず、年金は繰り上げて受け取るつもりです」といいます。 定年後も65歳までは働く予定のAさん。わざわざ年金を繰上げる必要があるのでしょうか。疑問に思った筆者は、まずは「繰上げ受給」について下記のように説明を行いました。