進化したJR四国の振子特急、2700系「南風」の実力 出力も設備もランクアップした最新の気動車
■四国フリーも購入できる「スマートえきちゃん」だが… 岡山を発車すると、JR西日本の宇野線区間は複線化された部分もあるが基本は単線のため、さっそく行き違いの運転停車がある。朝は列車が多いせいか、その後もやや抑え気味の走り方が続き、高性能エンジンを響かせての本格的な高速走行は、茶屋町から瀬戸大橋線の名に似合った複線高架の新線区間に入ってからとなった。 最初の停車駅の児島から先がJR四国の区間。鷲羽山トンネルを抜けて瀬戸大橋の上に飛び出す。朝の光に潮の流れがさざめき立ち、それこそ目が覚めるように美しい。鉄橋のトラス越しに大小の島、そして航行する船を眺めること約6分で四国へと渡った。
この際、児島着発に前後して筆者はスマホの「しこくスマートえきちゃん」を立ち上げた。これはJR四国が独自開発したスマホアプリであり、無料会員登録をするとウェブ上で近距離乗車券から自由席特急券、おトクなきっぷ、定期券まで買うことができ、チケットレスで乗車できる。 私が購入したのは「スマえき四国フリー」(1万8000円)で、3日間自由に乗降、特急自由席も随意に利用できる(指定席利用は別途特急券が必要。サンライズ瀬戸には乗車できない)。ウェブ販売だからどこでも買えて、四国内の駅で紙券に交換する必要もないから、岡山からダイレクトに入るにも好都合。ただ、他社区間はカバーしていないので、東京―児島間は別途ふつうに往復乗車券を用意しなくてはならず、新幹線特急券や岡山―児島間の自由席特急券を買う手間がいるのは煩わしい。
「しこくスマートえきちゃん」はJR四国の駅や列車内の随所で宣伝されている。座席の背面テーブルにも「JR四国列車運行状況」「土佐くろしお鉄道情報」「四国の観光情報はこちら」などと合わせてQRコードのステッカーが並ぶ。 一方、その下の網ポケットには「特急南風の指定席はネット予約の5489で!」と、案内が差し込んである。小さな所帯のJR四国は、JR西日本のシステムに相乗りしているのだ。主要区間の値段も載っているが、チケットレス特急券は通常の紙切符より少し安く、さらにJR西日本のJ-WESTカード会員だと自由席の価格を下回る。そのようにネット販売に誘導して駅や車内での発券を減らし、省力化につなげてゆく時流の施策が伝わってくる。