立教大監督を解任→実業団選手に転身、上野裕一郎38歳に聞いた「電撃復帰」の真相「ひらまつ病院が拾ってくれた」「立教大の選手に会うと…」
立教大選手に再会して告げられたこと
先日は、嬉しいことがあった。 あるレースで卒業生の中山凜斗(西鉄)に会った。中山は、上野が監督時代、直接スカウトして来てもらった1期生であり、エースとしてチームを牽引した選手だった。あんな形で部を去ることになり、きっと恨まれているだろうなと思っていたが、中山は嫌な顔ひとつせず、「また一緒に陸上やれますね」と再会を喜んでくれた。中山の両親も来ており、厳しい言葉も掛けられたが、嫌な顔は見せずに最後は「がんばってよ」と励ましの言葉をかけてくれた。 「中山だけではなく、金栗記念のレースでは山本(羅生・4年)や馬場(賢人・3年)、國安(広人・3年)、青木(龍翔・2年)、高田(遥斗・2年)が僕を見つけて、パッと集まってくれたんです。みんなには『申し訳なかった』と謝ったんですが、みんな何事もなかったように接してくれて、大人になったなと思いました。こういう場で、みんなに会えたことはすごくうれしかったです」
上野が走りで証明する「正しさ」
彼らが上野を囲んでくれたのは、監督としての手腕を認めていたからだろう。陸上部を4年で箱根駅伝に導き、個々のレベルを一緒に走りながら押し上げて、チームを成長させた。女子部員との関係は問題だが、かといって指導そのものが全否定されるわけではない。彼らに上野の指導は、確かに届いていたのだ。 「みんなに『体を戻して、維持できるんですか』って聞かれたんです。その時、『トレーニングはみんなに出していたメニューと同じことをしている。みんなとやってきたことが正しかったということを僕は結果で示していくから』と伝えたんです。これから部員は、高林(祐介)監督が作ったメニューで頑張っていくと思うんですが、僕は昨年までみんなに課した練習を今のチームの若手に伝え、一緒に頑張って行こうと思っています」 その言葉通り、上野はいま、選手として着実に結果を残している。<つづく>
(「箱根駅伝PRESS」佐藤俊 = 文)
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