徳川家康公の甲冑がクラウドファンディングで修復・公開へ
久能山東照宮(静岡市駿河区)が所蔵する徳川家康公の甲冑が、ネットで資金を調達するクラウドファンディングを利用して修復され、今春にも一般公開される。久能山東照宮は、クラウドファンディング利用の狙いについて、単に資金集めのためだけではないと話している。
久能山東照宮によると、今回、修復・公開されるのは「白檀塗具足(びゃくだんぬりぐそく)」と呼ばれる、徳川家康がまだ松平元康と名乗っていた若い頃の甲冑。久能山東照宮には他に「金陀美具足(きんだみぐそく)」と「歯朶具足(しだぐそく)」の家康公の甲冑があり、いすれも国の重要文化財に指定されている。 甲冑の修復には1000~1500万円程度の費用がかかるとのことで、国の重要文化財には補助金が出るものの、かなりの額は自ら調達しなければならず、金陀美具足と歯朶具足については、久能山東照宮がコツコツとためたお金で修復を行ったという。白檀塗具足についても、費用をためて修復をする予定でいたが、そのためには相当の時間がかかる。 そこで、資金調達のとしてクラウドファンディングを利用する案が検討された。株式会社パルコは2014年12月より新規事業としてクラウドファンディングに取り組んでおり、家康公の甲冑修復に向けてパルコと久能山東照宮による共同プロジェクトがスタートすることになった。
パルコによると、ネットを利用して資金調達をするクラウドファンディングには、投資型とリターン(商品)を購買する購買型があり、パルコのクラウドファンディングは購買型。500万円の資金調達を目指し、久能山東照宮の御神紋などが入った限定バッグや帽子、Tシャツ、さらにポスター、記念酒など支援額に応じたさまざまなリターン品が準備され、昨年11月よりプロジェクトがスタート。期限の今年2月5日を前に500万円の資金調達を達成した。 久能山東照宮は、クラウドファンディング利用の目的は資金調達だけではないという。「若い世代への訴求効果も期待してのことだった」と久能山東照宮博物館の姫岡恭彦副館長。流行のファッションを発信する商業施設を運営するパルコが取り組むプロジェクトに参画することで、若い世代に久能山東照宮をアピールしたいとの思いがあるようだ。また、日光東照宮と比べて知名度が劣ることから、クラウドファンディングを通して久能山東照宮を広くアピールし、多くの人に知ってもらう狙いもあるという。