「入居金は最高4億円超え」超高級老人ホームの実態 行列店の職人が寿司を握り、専門スタッフが御用聞き…その「お値段以上の価値」とは?
音楽ホールに麻雀室…娯楽設備も充実
3階は全て娯楽のエリアとなっている。いろいろなジャンルの本を取り揃えたライブラリーは定期的に新刊も入れているという。同じ階には美容室もある。週に4日営業しており、ホテルなどにも入っている美容家・遠藤波津子(はつこ)の美容室だ。その奥には、工作などができるアトリエを備えており、取材時はネイル教室が催されていた。 廊下を歩くと、大人が両手を広げたくらい大きな地球儀が飾られている。「飛鳥」や「にっぽん丸」といった、豪華客船の常連客だけに与えられる非売品の地球儀だという。 「豪華客船に頻繁に乗っていらっしゃる方がいまして。その方が記念に貰(もら)ったものを寄贈してくださいました」 何カ月間も船旅に出かけ、帰ってきてしばらくすると再び船旅に出かけていくという強者(つわもの)もいたそうだ。まるで豪華客船が居心地のいい老人ホームのようである。 3階には体育館並みの広さを持つホールもある。天井には当然のごとくシャンデリアが付いていた。居室では音の問題から楽器の演奏が禁じられているため、このホールにあるグランドピアノを弾いたり、楽器を持ち込んで演奏を楽しんだりする者もいるそうだ。 「現在ここに置いているグランドピアノは世界三大ピアノのうち、スタインウェイとベヒシュタインの2台です」 ちなみにスタインウェイやベヒシュタインは、モデルによっては2千万円から4千万円するという。ホールには舞台もあり、ピアニストやバイオリニストを招待してのコンサートやオーケストラの演奏イベントが開かれることもある。 麻雀室の前を通りかかると、居住者の男女が卓を囲んでいる光景を目にした。 「全自動の機械を2卓置いています。健康麻雀教室もやっており、初めての方には先生がついて、学びながら楽しめるようになっています。外部のご友人を招いて麻雀を楽しむこともできます」 麻雀は意外にも女性の利用者が多いという。密かに高レートの賭け麻雀が行われていないか気になって、中の様子を少しだけ覗かせてもらおうとしたが、すぐに別の部屋へと案内された。囲碁と将棋とチェスの部屋もあるが、サクラビア成城では麻雀が圧倒的に人気なのだという。 「麻雀室向かいの中庭越しには茶室があったのですが、近年使われることが少なくなり、皆さんのご要望でプライベートなトレーニングルームに改修しました。他にリハビリルームもあり、提携している医療機関から理学療法士が派遣されてきています」 陶芸工作室では、専用の窯(かま)を備えている。土を練るところから陶器を製作できるのだ。陶芸工作室の壁沿いには製作途中の作品が展示され、まるで学校の美術室のようである。取材後、作品に添えられたネームプレートの一つを調べてみると、関東近郊で医療法人を経営している医師のようだった。