中古トラクター流通減 海外需要高く輸出活発 国内で「取り合い」も
国内に出回る中古のトラクターが減っている。日本農業機械化協会によると、2021年の全販売台数に占める中古の割合(中古販売率)は27%(5454台)と、初めて3割を下回った。10年前は39%(1万8285台)あった。東南アジアなどへの中古の輸出や、保有機を下取りに出す農家の減少が背景にあるとみられる。関係者からは「値頃な中古の国内需要は高く、取り合いになっている」との声も上がる。 同協会は毎年、農機メーカーの販売店やJAを対象に、中古の販売台数や販売高を調べている。21年の中古販売率は、トラクター27%、田植え機30%、コンバイン40%。このうちトラクターだけ低下傾向にある。 要因について同協会は、調査対象ではない、輸出業者や海外のブローカーの動きを指摘する。トラクターは汎用(はんよう)性が高く、日本と同規模の農業経営体が多い東南アジアを中心に輸出が活発だという。
下取りの割合も低下
新機の購入時に、農家から下取りに出されるトラクターの割合も低下しており、21年は33%と、10年前の60%から大きく減った。経営規模が拡大し、農機の台数を増やしながら使い続ける農家が増えていることなどが、背景にあるとみられる。 新車トラクターの国内出荷台数が徐々に減少する中でも、中古トラクターの輸出台数は年5、6万台ほどでほぼ横ばいにある。農機販売関係者は「中古農機の販売フェアを組もうとしても、台数が集まりにくい場合もある」と話す。 同協会は、中古流通の調査結果を「中古農業機械価格ガイドブック」にまとめている。(古田島知則)
日本農業新聞