Amazonプライム『THEゴールデンコンビ』はなぜヒットしたのか、要因を考察
芸人が損をしない番組の作り方
特にこの形式は、そもそもお笑いが大好きで普段からテレビや劇場との距離も近い“コア層”に深く突き刺さった。次々とショートコントを披露しないといけないルール上、その場にうまくハマらないこともある。だからこそ、芸人としての生き様を表情から垣間見ることができているようで、ファンとしてたまらない場面がいくつもあった。そんな中でも、くるまやロングコートダディの堂前透は明らかに苦しい無茶振りに誘い込まれた時でさえ、華麗に切り返す大喜利力と即興でのコント力で笑いを作り出し、人を笑わせるという職業に改めて尊敬の念を抱かずにはいらない。 もちろん、この2人に限らず大半のメンバーに見せ場があり、芸人が損をするような番組になっていないというのも番組成功の要因のひとつ。ネプチューンの堀内健に指名され、自由奔放なボケに振り回されるニューヨークの屋敷裕政を思わず応援し、終わる頃には好きになってしまった人も多いのではないだろうか。最初はコア層にリーチする番組コンセプトだったが、徐々にライト層にも波及していった印象で、「この人のこんなところが見られた」、「この芸人さんこんなにすごいんだ」という感情がそのまま番組への満足感につながっているように感じた。 配信バラエティ番組成功の“先駆者”として、Netflix配信の『トークサバイバー』がある。この番組もトーク主体だが、お金はドラマ部分に割き、芸人たちを信頼してトークパートに余分な手は入れていない。ストロングスタイルのお笑い番組だからこそ、芸人たちがオファーを恐れながらもどこか憧れてしまう番組としてシーズン3まで続いている。 『ゴールデンコンビ』はまだシーズン1が配信されたばかりだが、『トークサバイバー』以上に芸人たちのキャラクターをはっきりと映す番組という基軸をしっかりと打ち出した。もしかすると今後は、すでにテレビやお茶の間でも大人気の芸人たちも出演を渇望することになるかもしれない。『ゴールデンコンビ』はそれほどまでに魅力的な番組で、配信バラエティ作品界隈に新たな衝撃をもたらしている。
まっつ