星に願いを(1月3日)
星に願いを―。どうか、晴れやかで喜びに満ちる一年でありますよう。天災が相次ぎ、心も萎[な]えるこの頃だから思いは募る。暗黒に浮かぶ無数の光点は、まさに希望の灯だ▼日本人は星空に引かれる。国内のプラネタリウムは300カ所ほどに上り、米国に次いで世界2位という。会津若松市出身の天文学者・渡部潤一さんは、「わび、さび」の美意識が影響していると推し量る。欧米人が雑音と嫌う虫の音を、心地よく感じる。もの言わぬ天空に魅せられてきたのは、ひそやかさを美と捉える感性があってこそか▼新春を彩る「しぶんぎ座流星群」が4日未明、ピークを迎える。8月の「ペルセウス座」、12月の「ふたご座」とともに三大流星群と呼ばれるが、現れる数は年によって異なる。幻とも呼ばれる由縁だ。流れるのは彗星[すいせい]か小惑星かも分かっていない。謎に満ちた存在ゆえに天体ファンを引きつける▼空模様も気になるが、眠い目をこすり、家族と、恋しい誰かと手をつなぎ、夜空を見上げてみる。気まぐれな天空の旅人たちに出会えれば幸多き予感。あいにく逃しても心配はいらない。新春の一番星は心で輝き、いとしい人の間に流れて絆を強めてくれるから。<2025・1・3>