日産ローレルHT 2000GX(昭和45/1970年6月発売・C30型) 【昭和の名車・完全版ダイジェスト057】
この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第57回目は、ラグジュアリーさとスポーツ性を兼ね備えた日産ローレルHT 2000GXの登場だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より) 【写真はこちら】大きな角形メーターを配置したインパネはラグジュアリー感が高く、スポーツモデルというよりハイオーナーカーの雰囲気が強い。ステアリングは3本スポークタイプだった。(全3枚)
スポーツ心を秘めたハイグレード・パーソナルカー
ローレルは、当時は空白だった中間クラスの1800ccを狙ったもので日産自らが「ハイオーナーセダン」を謳い、昭和43(1968)年3月にまずセダンがデビューしている。 その時のエンジンは直4のSOHCで、1815ccから100psを発生するG18型オンリーという設定。これを人気の高い510型ブルーバードに似た直線基調のスタイルの4ドアセダンに搭載した。 ちなみに1500~1600ccまでのファミリーカーと法人需要中心の2000ccに二分されていた当時の乗用車市場で、このクラスにセダンを投入したのはすぐれた着眼というべきで、事実、各社の1800ccクラス車もその後、相次いで登場している。 昭和45(1970)年6月には2ℓエンジンと日産車では初の前後サイドウインドウがフルオープンになるピラーレス2ドアハードトップを加えた。そのローレルHT2000の最高級モデルがGXである。4ドアセダンのボディをベースにしてホップアップラインを採用したHTは非常にスタイリッシュだ。 エンジンはセダンに搭載していたG18型/1800ccをベースにしたG20型で、4気筒のSOHCで1990cc。それにSUツインキャブを装備することで125ps/17.5kgmという当時としてはなかなかの高性能を実現していた。カタログ上での最高速は180km/h、0→400m加速は17.2秒となっていた。 フロントにストラット、リアにセミトレーリングアムーのサスペンションも上質な乗り心地と操縦安定性を実現していた。フライトコクピットタイプのインパネにウッドステアリングは当時の若者の心をとらえるのに十分だったし、熱線入りリアウインドウなどが標準で、オプションでパワーウインドウも選べるというハイグレードなパーソナルカーだった。片側3個のテールランプが曲がる方向に順次点滅する、流れるフラッシャー(シーケンシャルフラッシャー)も人気を呼んだ。 昭和47(1972)年4月、フルモデルチェンジでC30系からC130系に代わり、後に大人気となるHT2000SGXが登場する。
日産ローレルHT 2000GX(C30型)諸元
●全長×全幅×全高:4330×1605×1380mm ●ホイールベース:2620mm ●車両重量:1020kg ●エンジン型式・種類:G20型・直4SOHC ●排気量:1990cc ●最高出力:125ps/5800rpm ●最大トルク:17.5kgm/3600rpm ●トランスミッション:4速MT ●タイヤサイズ:6.45S-14 4PR ●新車価格:87万5000円
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