新型レクサスLBX MORIZO RRは、ホットハッチの新提案か? ブランド初のMTモデルは想像以上にオモシロかった!
“モリゾウさんの名前を汚すわけにはいかない”
というわけで、まだプロトタイプの段階ではあるけれど、エキサイティングなモデルであることは間違いない。試乗を終えて、冒頭に記した佐々木雅弘選手に話を訊けたので、要点を記しておきたい。 自身がこのプロジェクトに参画することの意味はなにか? と、質問すると、佐々木選手はこう答えた。 「僕はトヨタの社員ではないので、忖度抜きに意見を言うことができます。トヨタにも素晴らしい技量のドライバーがたくさんいますが、サラリーマンだと上司とか元上司にダメ出しするのは難しいじゃないですか。また、トヨタの社員だと、こういうリクエストを出したら生産の現場が混乱すると気を使うこともあるかもしれない。けれど、僕はクルマをよくすることだけを考えればいい。もちろんレーシングスピードで走ることもできるし、いろいろな意味で、社内ルールなどのトヨタのリミッターを飛び越えることができたと思います」 このクルマは、モリゾウさんのドライビングスタイルを反映しているとのことだったので、豊田章男会長のドライビングスタイルはどのようなものか? 「レーシングドライバーにもいろいろな種類はありますが、まずモリゾウさんはラリーとロードの両方を走ります。荒れた低ミュー路でも、ハイスピード、ハイグリップのニュルブルクリンク(サーキット)でも、状況に適した運転ができる。基本的にはすごく丁寧に操作する方ですが、行くときにはすごくアグレッシブで、使い分けられる……幅の広いドライビングスタイルがモリゾウさんの特徴だと思います」 フェラーリ「エンツォ・フェラーリ」が登場したのは、エンツォの没後14年の2002年だった。そう思うと、存命中の経営者の名前をモデル名に冠するというのは、なかなか大胆だ。それだけこのモデルに力が入っているということであり、プロトタイプの仕上がりからも、“モリゾウさんの名前を汚すわけにはいかない”という気合が伝わってきた。
文・サトータケシ 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)