実に若狭らしい「彩寿司」で帰路を楽しむ どれひとつ外したくない組み合わせ、鯖のふたつがジョンとポールのビートルズ? 久住昌之・するりベント酒
【久住昌之 するりベント酒】 福井県の若狭に行った。高浜で、竹人形浄瑠璃を観るためだ。それがいかに素晴らしかったかは別の場所に書く。 帰りに観光協会の人にお土産をもらった。 「彩寿司」だ。乗り換え駅で缶ビールを買って、新幹線で食べることにした。 久しぶりの正調弁当酒だ。すでに夜だったので、窓からの景色は楽しめなかったが。 若狭は昔から鯖の産地で「鯖街道」と呼ばれる山道を使って京の都に送っていた。今でもおいしい鯖料理を食べられる。 この彩寿司は四種の押し寿司のセット。 その名の通り、見た目が華やかだ。 まずはビールを開け、ズビビッと飲み、一番右の「小鯛ささ漬寿司」からいただこう。 小鯛のささ漬けも若狭名物。小さな鯛の切り身を檜の樽でつけた保存食で単体でもおいしい。これと椎茸煮、かんぴょう、大葉を挟んでおぼろ昆布で巻いている。 おお、これはうまい。小鯛のささ漬けの身の引き締まったうまさがちゃんと主役になっている。ふた口できれいに食べられるコンパクトさもいい。個別に透明フィルム包装されているので(写真は外して撮った)、味も移らない。くっつかず、食べやすい。酢の具合も絶妙。 次はその左。これは〆鯖寿司。脂がのった肉厚なシメサバが、大葉と甘酢生姜を敷いてシャリにのっている。脂がうまい。米は福井産コシヒカリを使っている。コシヒカリといえば新潟だが、実は発祥の地は福井だそうだ。福井の米はうまい。これもおぼろ昆布で巻いてある。敦賀は北海道産の昆布を加工したおぼろ昆布でも有名。鯖の皮の模様が透ける薄い昆布が、繊細な味の演出をしている。 さて、右から3番目、焼き鯖寿司。これはもう見るからに鯖の塩焼き。うまそう。そして正しく香ばしく、見た目以上にうまい!脂がのってるなぁ。酒のアテとしても最高だ。 ビールをズビビビと飲んで、ひと息つく。 ここまで三種を、実にいい流れで食べている。今思うといかにも前菜的な小鯛ささ漬寿司。あっさりしていた。そこからサバ二種。よりコッテリしてボリューム感もある焼き鯖がいかにもメインという感じ。 さてラストは「ふくいサーモン寿司」だ。