クジラ夜の街が描く"ファンタジー"の新たな領域 盟友・ルサンチマン北を交えその進化を語る
曲自体は最初からファンタジーではあった
──当時から比べてどういうところが変わったと思いますか? 北 そうですね……中音がちっちゃくなった(笑)。 秦・山本薫(Gt)・佐伯隼也(Ba):はははははは! 北 高校生の時に一晴に音作りについて相談したことがあるんですよ。「ギターのバランスってどれぐらいにしたらいいですかね」って聞いたら「9対1で俺が9」って言ってて、「そんなことある?」って思ったんですよ。リードギターがいるのに「俺が9」って(笑)。そこからバランスについての質問は二度としないようにしたんですけど(笑)。 ──無茶苦茶だ(笑)。 宮崎 もう、狂ってたんですよね、高校の時。 北 たぶんそこから、いろいろな懐柔があったりしたのか、今はすごくバランスが整って。 宮崎 懐柔されたわけじゃなくて、自覚したんだよ。 北 あの、中音がすっと収まった時から格段にライブが良くなった(笑)。 秦 リアルにそうでしたね。 ──そんな歪な中音でやってたんだ。 宮崎 そうですね。でかければでかいほどいいと思ってたし。僕、アンプに立ってるマイクの意味を理解してなかったんですよ。アンプから出る音が全部だと思っていたので、でかくないと聞こえないじゃんって。 北 それも結構かっこよかった。「Sugar」とかやった時の爆音の感じには結構影響を受けましたね。だから僕的には「ファンタジー」を掲げ始めたとかよりも、そっちのほうが印象に残ってる。曲自体は、今はそう名乗ってるだけで、最初からファンタジーではあったしなあと思うんで。ファンタジーに移行する時期も全然違和感はなかったというか、むしろ「今更言うんだ」くらいの感覚だったかな。 ──逆にクジラ夜の街から見たルサンチマンの進化とか変化についてはどうですか? 宮崎 やっぱり楽器っすよね。楽器への愛が圧倒的だし、プレイへのこだわりもストイックで。高校生の時から、なんか圧倒的にプレイで見せるみたいな方向にどんどん変わっていったんですよ。その頃からアレンジのきめ細やかさやひとつひとつの楽器へのこだわりみたいなものが突出し始めた感じがしましたね。その道を今も進んでいて、本当に自分たちでかっこいいことをやってるっていうのがあるので、だからこそルサンチマンに憧れるバンドっていうのもどんどん増えてますよね。 ──でも今回のアルバムを聴いて思いましたけど、クジラ夜の街もプレイの部分がすごく進化していますよね。 宮崎 本当ですか? ありがとうございます。メンバーがもう。 秦 ありがとうございます。僕、ドラマーとしてはルサンチマンのもぎくんの存在がデカくて。彼が中3の時に体験入部に来てくれて、そこで知り合ったんですけど、そこからずっと仲良くて、ずっとドラムの話ばっかりしてたんです。ライブで一緒になったら誰かに審査員やってもらって、どっちがかっこいいか勝負したりして。僕はもぎのプレイに影響受けてるし、自分で言うのもなんですけど、もぎも自分のプレイを見て影響を受けてると思うし。どんどん離れて行ってはいると思うんですけど、そういう関係はずっとありますね。あともぎくんは1年ぐらい前から急に体がデカくなった(笑)。 宮崎 前はあんなにデカくなかったよな。 秦 シンバルの口径もでかくなってて、今、山みたいになっちゃってるんで。僕も体重を増やさなきゃなってずっと思ってます。 宮崎 北とそんなに体型変わらなかったのにね。 北 いや、僕より細かった。 秦 それがドラム魔人みたいになっちゃった(笑)。 宮崎 でもそういうの、佐伯さんもあるよね。あなたは音楽をまったくといっていいほど聴かないけど、しみさん(ルサンチマンのベーシスト・清水)のベースだけは──。 佐伯 結構リスペクトというか、曲を聴いてないぶん、それを聴いて育ってきたんで。ユレニワとしみさんぐらいかな。