NY市場サマリー(6日)ドル急騰、利回り大幅上昇 株大幅続伸
<為替> 終盤でドルが4カ月ぶりの高値に急騰した。米大統領選で共和党のトランプ氏が勝利したことで、その移民・税制・貿易政策が米経済成長とインフレを加速させるとの見方が高まった。 上院でも共和党が過半数議席を獲得。下院の情勢は依然固まっていないが、共和党が勢力を拡大する可能性がある。 共和党が両院とも制すれば、より大きな立法改正を行うことが可能となり、その結果、通貨の変動も大きくなる可能性が高くなる。 トレーディングプラットフォーム、トラドゥのニコス・ツァボウラス氏は「インフレがさらに高まり、米連邦準備理事会(FRB)は緩和ペースを弱めることを余儀なくされる可能性がある。これはドルにとってプラスとなる」と述べた。 一方、長期的には、トランプ氏がドル安を好むと表明していることが、ドルの見通しを複雑にするかもしれない。「トランプ氏は前回の在任中も、輸出と経済活動の促進に向けドル安を好んでおり、長年のドル高政策に本質的に異議を唱えてきた」とツァボウラス氏は指摘する。 トランプ氏は金利引き下げも求めていたため、こうした政策が具体化し始めると、長期的にはドルにとって逆風となる可能性があるという。 ドル指数は前日比1.66%高の105.09。一時は7月3日以来の高値となる105.44を付けた。 ユーロは前日比1.78%安の1.0735ドル。一時は6月27日以来の安値となる1.0683ドルまで下げた。 ドイツの政情を巡る不確実性もユーロを圧迫した可能性がある。ドイツのショルツ首相は6日、リントナー財務相の解任を求めたことを明らかにし、年明け1月15日に内閣に対する信任投票を実施すると表明した。これによって、来年3月に総選挙が実施される可能性がある。 ドル/円は1.92%高の154.5円。一時は7月30日以来の高値となる154.7円に達した。円は、日本の当局が円買い介入を行った水準に近づく可能性がある。 暗号資産(仮想通貨)のビットコインは10%超上昇し、過去最高の7万6134ドルを記録した。 FRBは7日まで開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で25ベーシスポイント(bp)の利下げを行うと予想されている。 CMEグループのフェドウォッチによると、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では現在、FRBが12月に利下げを行う確率を71%と予想。5日の77%から低下している。 <債券> 国債利回りが大幅上昇し、数カ月ぶりの高水準を付けた。トランプ氏が米大統領選に勝利したことで、経済政策の転換が財政赤字拡大とインフレ高進につながるとの見方が強まった。 指標となる10年国債利回りは一時4.479%まで上昇し、7月以来の高水準となった。終盤は前日比15.3bp上昇の4.441%だった。 ただ、30年国債入札が予想以上に順調だったことを受け、入札後に上昇幅は縮小した。 エコノミストは、トランプ氏が公約に掲げる減税が経済を活性化させる一方で財政赤字拡大につながり、政府の借り入れを増やすことになると指摘。また、関税の導入がインフレをあおり、FRBの利下げ余地を狭めることになるとみられている。 イーグル・アセット・マネジメントのマネージング・ディレクター、ジェームズ・キャンプ氏は「トランプ氏を巡るリスクは財政の規律が緩むことだ。2025年のどこかの時点で、赤字が市場の注目を集めるだろう」と述べた。 30年国債利回りは一時4.678%と5月下旬以来の高水準を付けた。終盤は16.5bp上昇の4.612%。1日の上昇幅としては2020年3月以来の大きさとなり、将来の借り入れに対する懸念を浮き彫りにした。 2年債利回りも一時4.312%と、7月下旬以来の高水準を付けた。終盤では約7.5bp上昇の4.278%。 米国債のイールドカーブは急激にスティープ化し、2年債と10年債の利回り格差は19.5bpに拡大した。 <株式> 大幅続伸して取引を終えた。米大統領選でのトランプ前大統領の勝利を受け、主要3指数がいずれも過去最高値を更新した。 トランプ氏が掲げる新たな関税はインフレ加速などにつながる可能性があるものの、市場では減税や規制緩和への期待が高まった。 同氏の勝利を受けて「トランプトレード」が広がり、米国債利回りやドルが大きく上昇、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは過去最高値を更新した。 ダウ工業株30種とS&P総合500種は2022年11月以来の大幅な上昇率を記録。ナスダック総合は今年2月以来の大幅上昇となった。 S&P500の主要11セクターでは金融の上昇率が最大。規制緩和の恩恵を受けるとみられる銀行が買われ、銀行株指数は10.68%急伸した。 中小型株で構成するラッセル2000も5.84%上昇し、3年ぶり高値を付けた。国内事業中心の銘柄は規制緩和や減税の恩恵を受けやすく、関税へのエクスポージャーが低いとみられている。ただ、米国債利回りの上昇は借り入れへの依存が大きい傾向にある中小企業の痛手となる可能性もある。 金利の影響を受けやすい不動産や公益事業は下落。トランプ氏の政策がインフレを加速させ、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策見通しに影響する可能性を警戒した。 2期目のトランプ政権で上昇が見込まれる銘柄が買われ、トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループは5.94%高、テスラは14.75%高。 仮想通貨関連やエネルギー株も好調だった一方、再生可能エネルギー関連株は下落した。 <金先物> 米大統領選の結果判明後の米金利、ドル指数の上昇に圧迫され、大幅反落した。中心限月12月物の清算値(終値に相当)は前日比73.40ドル(2.67%)安の1オンス=2676.30ドル。これは10月中旬以来、約3週間半ぶりの安値水準。 <米原油先物> 米大統領選の結果判明を背景とした株高が支援要因となったものの、ドル高や米国内の在庫増加が重しとなり、6営業日ぶりに反落した。米国産標準油種WTIの中心限月12月物の清算値(終値に相当)は、前日比0.30ドル(0.42%)安の1バレル=71.69ドル。1月物は0.32ドル安の71.24ドルだった。 ドル/円 NY終値 154.63/154. 64 始値 154.21 高値 154.70 安値 153.99 ユーロ/ドル NY終値 1.0728/1.07 30 始値 1.0707 高値 1.0757 安値 1.0683 米東部時間 30年債(指標銘柄) 17時05分 94*07.0 4.6085% 0 前営業日終値 96*23.0 4.4500% 0 10年債(指標銘柄) 17時04分 98*17.5 4.4315% 0 前営業日終値 99*22.2 4.2880% 5 5年債(指標銘柄) 17時05分 99*11.2 4.2707% 5 前営業日終値 99*25.2 4.1720% 5 2年債(指標銘柄) 17時05分 99*23.5 4.2658% 0 前営業日終値 99*27.2 4.2030% 5 終値 前日比 % ダウ工業株30種 43729.93 +1,508. +3.57 05 前営業日終値 42221.88 ナスダック総合 18983.47 +544.29 +2.95 前営業日終値 18439.17 S&P総合500種 5929.04 +146.28 +2.53 前営業日終値 5782.76 COMEX金 12月限 2676.3 ‐73.4 前営業日終値 2749.7 COMEX銀 12月限 3133.1 ‐144.4 前営業日終値 3277.5 北海ブレント 1月限 74.92 ‐0.61 前営業日終値 75.53 米WTI先物 12月限 71.69 ‐0.30 前営業日終値 71.99 CRB商品指数 281.4391 ‐2.2073 前営業日終値 283.6464