打率・３１５ながら規定打席割れとなったサンタナ

　「巨人４－１ヤクルト」（４日、東京ドーム） 　ヤクルトが今季９６試合目を終えた瞬間、セ・リーグから打率３割打者が消えた。リーグトップの打率・３１５をマークしながら、７月１５日に左足裏痛で出場選手登録を抹消されていたヤクルト・サンタナが規定打席割れとなり、トップは・２９７の巨人・丸となった。 　２リーグ分立後、打率２割台で首位打者となった例はない。１リーグ時代の１９４２年に巨人・呉昌征が・２８６で首位打者になったことはあるが、２リーグ分立後に最も低い打率で首位打者になったのは、１９６２年の広島・森永勝治と、昨年のオリックス・頓宮が・３０７でタイトルを獲得した２例はあるが、２割台の首位打者はいない。 　阪神ＯＢの中田良弘氏は「近年の投手は１５０キロを超えて当たり前。特にリリーフ陣の球速アップは目覚ましく、バッターが対応するのが年々難しくなってきているのは間違いないだろうね」と分析する。 　投高打低の図式は投打の成績に表れている。３割バッター不在のセ・リーグ投手では、広島・大瀬良の防御率０・８５に代表されるように、防御率２点以内の投手が７人もいる。一方、ソフトバンク・近藤、ロッテ・佐藤が３割をマークしているパ・リーグはソフトバンク・モイネロだけが防御率１点台という形になっている。 　特に今年は「ボールが飛ばない」という声を耳にするが、加えて、近年は球速、ボールの変化量、回転数、回転軸などを計測するトラックマンやラプソードの計測機械が導入され、自らのデータが『見える化』されたことで、投手が自らの弱点を修正、克服しやすくなっている環境がある。また、相手打者の打球方向なども全てデータ化、数値化されてきているのも投手有利に働いている要因のひとつではないだろうか。 　打者は常に受け身で、投手サイドの新しい変化に素早く対応することは難しい面があり、慣れるまでにはそれなりの時間が必要でもある。投手の進化が加速していけば、３割打者が『絶滅危惧種』と呼ばれる時代がやってくるかもしれない。（デイリースポーツ・鈴木健一）